目次
フィルムコンパクトカメラ「NikonミニAF600QD」ネガフィルム実写インプレッション
ネガフィルムとポジフィルムの写真の違いを確かめてみた
我が家の押入れから掘り起こされた、フィルムコンパクトカメラ「NikonミニAF600QD」は、第1回目のポジフィルムを使用したテスト撮影を終え、今回はネガフィルムを装填しての、2回目のテスト撮影となりました。
前回使用したポジフィルムは、スライド用フィルムとも呼ばれ、スライド映写機で壁面に設置したスクリーンに拡大投影して写真を楽しみます。
またはその昔、私も使用していたキャビン工業の「ツインキャビン」というスライドプロジェクターで、画面に投影された映像を鑑賞していました。
今回使用したのはネガフィルムであり、白黒ネガフィルムで話をすると、ネガ上では明るい部分は黒くなり、暗い部分は白く(透明)なる、いわゆる「白黒反転」に記録されるフィルムです。
それを引き伸ばし機で印画紙に焼き付ける作業をすると、印画紙の元の色は白色であり、光を当てると黒くなる性質のため、ネガ上で明るい部分は黒いため印画紙上では白いままの状態になり(明るい状態)、暗い部分は白(透明)のため黒く焼かれて(暗い状態)、ポジ画像に戻るという仕組みです。
要するに、ネガフィルムは、プリントすることを前提としたフィルムだということです。
今から40年程前のフィルムカメラ全盛の時代では、写真はL判サイズにプリントして楽しむことが通常でしたので、多くの人がネガフィルムを使用して写真撮影をしていました。
逆に前回使用したポジフィルムの方が、プロやハイアマチュア使用限定の、マイナーなフィルムだということです。
私も、その発色の良さや、焼き付け作業によって色合いや明るさが変化してしまうことを嫌い、カラーフィルムはポジフィルムを使用していました。
今回は今流行りのノスタルジックでレトロ調な写真になるのかを検証したいため、求めているのは発色の良さではなく、全くその逆の、抑えられた発色であり、なめらかな階調です。
さて、ネガフィルムではどのように写っているのか、私自身、楽しみです。
写真撮影に使用したネガフィルムと現像・デジタル変換
今回、撮影に使用したフィルムは、前回の【フィルムカメラ実写レビュー】ニコンミニAF600QD(1993年3月発売)やフィルムとデジタルの違いを作例写真で紹介|ニコンミニとリコーGRDを比較のときに使用したポジフィルム(リバーサルフィルム)とは違い、ネガフィルムでレトロ調に撮影出来ると評判の、富士フィルム「PRO 400H」を使用しました。
この富士フィルム「PRO 400H」の特徴は、
- ネガフィルムであること
- フィルム感度:ISO400と高感度
- 階調:軟らかい
- 彩度:自然で落ち着いた発色
- デイライトフィルムでありながら、色温度の影響を受けにくい
となっています。
このフジカラー「PRO 400H」というネガフィルムは、ノスタルジックでレトロ調な写真を再現するよう、発色は抑えられ、多少青みがかっていて、薄ボケた印象の写真が撮れるということで人気があるカラーフィルムです。
本来は「レトロ調写真フィルム」という訳ではないのですが、これまでの青・緑・赤の3つの感色層に追加された、発色を忠実に調節する役目を担う第4の感色層が、青みがかった色合いを生み出しているようです。
現像とDVDへのデジタル変換は、前回と同様にビックカメラ有楽町店にて行いました。
現像は「カラーネガ現像」の「コダック」の「35mm(36枚撮り)」の「ノーマル」にて、565円(税込)となっています。
デジタル変換は「Kodak」の「フォト DVD」の「マルチ16BASE」の「35mmポジ」にて、基本料金514円+1シートあたりの料金822円=合計1,336円(税込)となっています。
撮り終わった36枚撮りネガフィルム1本を、現像・デジタル変換する費用の合計は、1,901円(税込)となります。
現像はフジフィルムよりもコダックの方が少し安かったので、コダックで依頼しました。
リバーサルフィルムの場合は、合計2,596円(税込)でしたので、費用は多少安く済みました。
ネガフィルム「FUJICOLOR PRO400H」による撮影写真解説
それでは「NikonミニAF600QD」にネガフィルム「FUJICOLOR PRO400H」を装填したカメラで撮影した写真を、順番に見ていくことにしましょう。
(アップした写真は全て、原寸大サイズ3089×2048ピクセルの画像を1024×678ピクセルに縮小しています。)
東便座駅近くの南海ビル前にて撮影。
確かに落ち着いた発色ではあります。
イメージしていた画ではありませんが、これも悪く有りません。
マロニエゲート銀座2(旧銀座プランタン)にて撮影。
お花屋さんの生花の色合いが綺麗でしたので撮りました。
これはこれで落ち着いた発色、なめらかな階調で、優しい雰囲気に写っています。
またもや、カメラをホールドした左手人差し指が写っていますが、気にしないで下さい。(^_^;)
数寄屋橋公園にて撮影。
緑の発色が落ち着いていて、なかなか良いですね。
見た目に近い発色と言えるかも知れません。
上の写真は銀座ファイブにある「ベトナムキッチン銀座999」にて撮影した写真、下の写真は以前ポジフィルムで撮影した料理写真です。
同じような照明具合の店舗内での撮影ですが、ネガフィルムでは見た目の色合いに近い状態で写っているのに対し、ポジフィルムでは赤く写ってしまっています。
フィルムカメラでも飲食店舗内で料理写真を撮影したい人には、ネガフィルムのほうが向いているようです。
上の写真は「ユザワヤ銀座店」店舗内にて撮影した写真、下の写真は同場所にてポジフィルムを使用してペンタックスオートロンSEで撮影した写真です。
フィルムで撮影した上の写真は、照明下で撮影した写真にも関わらず、見た目に近い色調となっています。
下のポジフィルムで撮影した写真は、多少赤みを帯びてしまっていますが、悪くはありません。
雰囲気があるのはポジフィルムの方でしょうか?
好みは分かれますね。
銀座の阪急メンズ東京前にて撮影。
モノトーンな景色では、モノクロのような写真になります。
新橋演舞場前のカフェ・ド・クリエにて撮影。
全体的にモノトーンのような、落ち着いた発色です。
大丸東京店のショーウィンドウを撮影。
落ち着いた発色ではありますが、赤色はしっかりと発色しています。
東京メトロ東西線駅ホームにて撮影。
蛍光灯下での撮影ですが、青緑がかることなく、見た目に近い色合いに写っています。
上の写真は「ユザワヤ銀座店」店舗内にて撮影したもの、下の写真は同じ場所にてポジフィルムを使用してペンタックスオートロンSEで撮影したものです。
両方共に照明下での撮影ですが、上の写真は落ち着いた色合いながら、しっかりと色を再現できているのに対し、下のポジフィルムで撮影した写真は、多少赤みを帯びてしまっています。
銀座ファイブの地下飲食店街店舗にて撮影。
照明下ですが、ナチュラルな色合いです。
どことなく、ふわっとした軟らかい雰囲気に仕上がっています。
ネガフィルム「FUJICOLOR PRO400H」の総合評価
カラーネガフィルム「FUJICOLOR PRO400H」を初めて使用してみましたが、聞いていた前評判から想像するよりも、
「全然、青みがかっていない・・・」
というのが、第一印象でした。
これはこのフィルム指定の現像処理である、フジフィルムCN-16系処理ではなく、コダックの現像(おそらくC-41処理)に依頼したせいなのか、はたまた、デジタル変換時にオペレーターの判断で色補正してしまったのか、それは定かではありませんが、落ち着いた見た目に近い色合いに仕上がっていました。
私の予想では、
「こんな青みがかった色じゃ使いない!やっぱりカラーはポジフィルムに限るな!」
という結論にしたかったのですが、意外や意外、見たまんまの印象に写ります。(^_^;)
それが逆に、写真らしくないとも言えなくもないですが、見慣れるとこれも悪くない。
でも、小学生の頃、私がよく目にした、親が撮ってた写真の色合いと同じじゃないか!とも言えなくもない。(^_^;)
いずれにせよ、ネガフィルムはポジフィルムと違い、撮影時に一発で決まらないことは確かです。
フィルム現像だけでなく、プリント作業(ポジ像に変換する作業)が追加されますので、その作業如何で色合いなどを如何様にも変化させることが出来る訳です。
そういう意味合いでは、やはり一発で決まるポジフィルムが、個人的には好きですね。
しかしながら、ネガフィルムは撮影する状況下を選ばないため、万能なフィルムと言えるでしょう。
今回使用した「FUJICOLOR PRO400H」の感想は、
- 落ち着いた発色であること
- 粒状性も良く、なめらかな画に仕上がること
- ハイライト部分が、ふわっとした感じに写ること
このような印象を受けました。
このフィルム特性を理解した上で、被写体を選んで撮影できれば、撮影自体がもっと面白くなるかも知れませんね。
ネガフィルム「FUJICOLOR PRO400H」写真一覧
今回テスト撮影した写真の一覧です。
ちなみに、撮影後半あたりから、うちのかみさんが撮影してます。(^_^;)
撮影後の感想・まとめ
久しぶりのカラーネガフィルム撮影でしたが、そもそも、私が写真を趣味にしてからというもの、カラーネガフィルムは殆ど使用したことがありませんでした。
中学生の頃から、ポジフィルムである「コダクローム64」が私の定番のフィルムでした。
ライカM2を使用しだしてからは、モノクロームフィルム一筋のフィルムカメラ生活でしたので、よくよく考えてみるとカラーネガフィルムと言うのは、10本も使ったことがないのかも知れません。
ライカM2にカラーフィルムを入れるというのも、当時では有り得ない行為のような気がしていましたが、興味本位で一度だけ余ったカラーネガフィルムをライカM2に装填して撮影したことはあります。
が、その薄ボケた写真を見て、当然の如く、愕然としたことを覚えています。
そりゃ、そーですよね。
1950年代に製造されズミクロンなどのレンズは、カラーフィルムで撮影することなど、想定していない訳ですからね。(^_^;)
でも、今回使用した「FUJICOLOR PRO400H」は、なかなかやってくれました。
この落ち着いた色合い、決して嫌いではないです。
見れば見るほど、好きになってしまう、そんなカラーネガフィルムです。
やはり、40年前のカラーネガフィルムよりは、格段に進歩しているのでしょう。
富士フィルムの技術である「第4の感色層」とやらが、この風合いを醸し出しているのかも知れません。
特に気に入ったのが、ハイライト部がハレーションを起こしたように、ふわっとした雰囲気になること。
これはライカM2に1950年代製造のズミクロン35mmF2.0やズマリット50mmF1.5を付けて、モノクロフィルムで撮影したときのような画と近いものがありました。
レンズだけのせいではなく、フィルムによってもこのような画になるのだということを、初めて知りました。
これからは、カラーポジフィルムのみならず、この「FUJICOLOR PRO400H」カラーネガフィルムも、どんどん使っていきたいと思います。
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子供の頃、カメラが好きで集めていたカメラカタログを、ネット通販で取り扱う「カメラカタログ通販」の管理運営をしています。
このネットショップサイトの運営を開始してから、自らもフィルムカメラによる写真撮影に目覚め、銀塩写真撮影を再開した、アラフィフ男です。