目次
憧れの高級フィルム一眼レフカメラ「ペンタックスLX」を購入!
つい最近、ペンタックスMZ-3を購入したというのに、またまた新たなフィルム一眼レフカメラを購入してしまいました!
今回購入したのは一眼レフカメラは、1980年に発売が開始され、その後20年間に渡り製造・販売された、ペンタックス創業60年の技術の結晶とも言えるプロ用高級一眼レフカメラ、
ペンタックスLX(PENTAX LX)
です!
いやー、やっちゃいましたねー。
買っちゃいました。(^_^;)
というのも、当初は古くて安いフィルム一眼レフを沢山購入して、焦点距離の違うレンズ1本に対して、ボディ1体づつ購入していこうという計画だったものの、このまま行けば「沼にはまる・・・」という不安に駆られ、
「そうだ!高級機を1台買って、それで終わりにしよう!」
と、思い立ったのです。
私の中で、フィルム一眼レフカメラの高級機といえば、ニコンF3とキヤノンNewF-1とペンタックスLXの3台が該当しますが、やはりペンタ党の私としては、このペンタックスLXへの思い入れがかなり強く、この3台の中では群を抜いてのコンパクト軽量設計であることから、迷わず即決と相成りました。
後期型ペンタックスLXボディを購入
ペンタックスLXは20年に及ぶ長い期間、製造販売されたカメラですので、幾度かのマイナーチェンジがなされています。
一般的には「前期型(初期型含む)」と「後期型」と呼ばれる2タイプに分類することが出来ます。
見た目の違いや性能面の違いはそれほどないのですが、後期型は故障防止や修理をしやすくするなどの改良がされているようです。
カメラ修理店さんの話によると、前期型と後期型ではカメラ内部の構造が全く違っていて、前期型は修理が大変で、今はもう前期型の修理は受け付けていないとのことでした。
故障することを想定していなければ、前期型でも良いのでしょうが、最も古い製造のものでは40年前に発売されたカメラですので、流石にそれは危険だと考え、後期型のモデルにターゲットを絞りました。
そして、完動品であり、見た目にも大きな凹みや傷がないものをヤフオク!で探し、購入したのが、この、シリアルNo.5354436の後期型ペンタックスLXなのです。
落札価格は、49,800円成り!
「高い!」
「高すぎるっ!」
「やっちまったか!?」
当初はそう思いましたが、ペンタックスLXはニコンF3やキヤノンNewF-1ほど売れた機種ではありませんので、市場に出回っている在庫が少ないため、致し方ないようです。
さらに、近年、ペンタックスLXの良さが見直されてきて、価格も高騰しているらしいのです。
しかし、本当に欲しいものなら、価格など、さほど気にならないものですね。(^^)
しかし、ちょっとした事件が起きました・・・。
いきなり故障!?ミラーが上がらなくなり、シャッターが切れなくなった!?
自宅に届いたペンタックスLXのシャッターと巻き上げを楽しんで繰り返しているうちに、あれれ??ミラーがアップしなくなり、シャッターが切れなくなってしまったのです!!(T_T)
届いたその日に壊れてしまいましたので、ヤフオク!出品者に交渉して、修理代の半額は負担してもらうことになりましたが、折角手元に届いた憧れのペンタックスLXが、また手元から離れて、カメラ修理店への長旅に出てしまうこととなりました・・・トホホ・・・(T_T)
でも、修理受付可能な後期型を選んでおいて、本当に良かったと思いました。(^^)
カメラ修理は、東京都台東区にあるペンタックスLXの修理でも有名なカメラ修理店に依頼して、約1ヶ月ほどの期間を経て、無事に直って私の手元に戻ってきました。(^^)
修理代は2万円弱であり、ヤフオク!出品者に半額の1万円を負担してもらっていますので、結局、このペンタックスLXは、落札代金49,800円-修理代半額負担分10,000円+修理代支払い分20,000円=59,800円という価格になりました。
そう、これは59,800円で購入した、オーバーホール済みのペンタックスLXということなのです!
1980年発売当初の販売価格は、ペンタックスLXボディ価格112,000円+アイレベルファインダーFA-1価格13,000円=125,000円です。(私が所持している1980年12月現在のペンタックスLXシステム価格表より)
ただし、後期型のモデルは、発売開始から15年や20年が経過していて、物価も上がり、価格も改定されていて、ボディ価格で150,000円だの、180,000円だのといった情報もあります。(価格表を所持していないため、正確なメーカー販売希望価格が分かりません)
そう考えると、59,800円はちょっと高めだけど、外観も綺麗だし、修理も終えて暫くの間は故障の心配をすることもなく使えることを考えると、妥当な価格なのかなと自分に思い込ませ、気を紛らわせることにしました。(^^)
手に取っただけで分かる、その高級感!
このペンタックスLXを手に取って最初に感じたことは、ズッシリと重く、コンパクトなボディにメカがいっぱい詰まっているという印象です。
その感覚は、決して「重い」のではありません。
ペンタックスLXボディの重量は570gであり、ニコンF3ボディの715gや、キヤノンNewF-1ボディの805gと比べると、圧倒的な軽さを誇ります。
それでいて、このズッシリ感は、カメラ内の「密度」に由来するのではないかと思います。
コンパクトなカメラボディの中に、通常のカメラよりもメカが隙間なくギッチリと詰まっていることで、大きさから予測していた重さより、実際にははるかに重いと感じたからだと考えます。
「手に伝わるこの密度感、さすがプロ用高級一眼レフ!」
そして巻き上げレバーを巻き上げると、チリ・チリ・・・という小さな音と共に、一切遊びがない動作で巻き上げられる。
さらにシャッターを押すと、「ここからシャッターが切れますよ!」という分かり易いポイントで、「バサンッ!」という素晴らしい音質のシャッター音とともに、シャッターが切れる。
「なんと小気味良く、気持ちのいい音なのだっ!!」
今、所持しているニコンEMなんかは、「パッチャン!」ですからね。
昔、使用していたペンタックスMEsuperも、こんな歯切れよく、小気味良い音はしなかった。
言う慣れば、他の一般的な一眼レフのシャッター音は総じて「軽い」が、このペンタックスLXはシャッター音までもが「重い」のだ!
どうやら、ペンタックスLXは、フェラーリのエンジン音のように、シャッター音までもチューニングしていたのかも知れない。
こりゃ、たまりませんな。(^^)
私がライカM2等を使用していたときは、シャッター音は「小さければ小さいほど、良い」という考えでしたので、ライカM2の布製横走りシャッター幕が動く「パサッ」という小さな音に、それなりの敬意を表していました。
シャッター音が小さいということは、撮影される側も気構えること無く、自然体でいてくれるというメリットがあり、街中スナッパーの私にとってライカM2は、非常にありがたいカメラでもありました。
しかし、このペンタックスLXのシャッター音を聞いてしまったら、もう写真としての結果など、どうでも良いではないか?と、思ってしまうほどです。
これからは、もっと「カメラを持つ喜び」と「撮影する喜び」という「過程」を楽しもうじゃないか!と、思うのです。
ペンタックス初の「プロ用」一眼レフカメラ「ペンタックスLX」の実力を探る!
ペンタックスLXは、ペンタックス製35mmフィルム一眼レフカメラの中で、唯一のプロ用高級機です。
今までは、プロ用カメラ作りはニコンやキヤノンに任せて、ペンタックスはコストパフォーマンスを追求し、リーズナブル且つ高機能なカメラ作りをしていたカメラメーカーと言えます。
しかし、ペンタックス創業60周年を迎えるにあたり、その8年前にあたる1972年頃から、プロの写真家たちに最良の道具を手にして欲しいと考え、最高級一眼レフの設計に着手しました。
そして8年の歳月を費やし、完成したのが、ペンタックスLXなのです。
PENTAX LXの開発コンセプト
ペンタックスは、プロ用高級一眼レフを作るにあたり、プロの写真家たちが、どんな条件下で、どのように一眼レフを使っているかを徹底的に調査しました。
そこで、真のプロ機の条件を打ち出しました。
- 最高の品質であること
- 使いやすく、確かな機能
- 撮影状況の幅広い対応
- 撮影用途の拡大化
具体的には、
- かつてない精度を持つ自動露出機構の開発
- 持ちやすく操作しやすいボディーフォルム
- 高度な電子化の中でのメカニカルシャッターの保存
- 悪条件や激しい使用に耐える堅牢性・信頼性の高さ
- 広大なシステムの充実
以上の条件を満たすカメラとして誕生したのが、ペンタックスLXなのです。
「LX」とは、ローマ数字で「60」を意味し、ペンタックスが創業60周年を迎えるにあたり、自信を持って世に送り出したプロ用高級一眼レフカメラなのです。
PENTAX LXの他とは違うプロ用基準の特長
世界初の密封構造を持つ一眼レフカメラ
カメラは精密機械であるがゆえに、水や砂は大敵であるという認識が常識であったこの当時、ペンタックスLXは世界初の密封構造を持つカメラとして発売されました。
もちろん、大量の水をかけるような、水圧のかかる使用は避けなければなりませんが、霧や小雨や雪が降る中での撮影や、砂漠で巻き上がる砂塵の中での撮影など、多少の悪条件下ならば使用可能というカメラを作り上げました。
例えば、巻上げ軸部分には、特殊なシールド型ベアリングを使用したり、裏蓋には従来のモルトプレーンに替えて、防水能力の高い特殊ラバーを使用したりしています。
今現在のカメラに於ける防水防滴技術は、このペンタックスLXから始まったと言えます。
ボディの密封性は、人工的に雨を降らせる耐水試験機による検査で、カメラボディ内部への水の侵入がないことを抜き取りテストしています。
さらに全製品に対して、重ねて密封性の再チェックがされています。
カタログに掲載されている、この耐水試験テストの写真に、カメラマニアは皆、心を揺さぶられたものです。
IDM自動露出システム(露光中の光量を積算してシャッターを制御)を採用
今までの一般的な一眼レフカメラの自動露出システムは、ミラー上昇前の測光値(予測値)でシャッターを切っていたのに対し(数十分の一秒後程度なら、光は変化しないだろうという考え)、ペンタックスLXは、ミラー上昇後の測定値(実測値)でシャッターを制御します。
例えば、絞り優先AEの使用で、1/8秒でシャッターを切ったと同時に、突如、車のヘッドライトが飛び込んできた場合、その光量をも積算し、適正露出になった時点で、シャッターが閉じます。
つまりは、コンピュータが自動的に光量を積算し、予定露光時間である1/8秒より前の時点で、「光量はもう十分だよ!」と言って、予定より早くシャッターを閉じたということです。
突発的な光の変化にも対応するのが、このIDM自動露出システムなのです。
高速側シャッターでは、ミラー上昇後に計測が開始され、シャッター先幕反射光だけの光量を測定することになりますが、低速側シャッターでは、シャッター先幕とフィルム面両方の反射光量を測定することとなり、適正露出となり次第、シャッター後幕が閉じるようになっています。
このシステムにより、フィルムを装填していな状態で低速シャッターを切ると、反射率の違いから、ファインダー内に表示されるシャッタースピードよりも長くシャッターが開きますが、決して壊れている訳ではありません。フィルムを装填すれば、正常な露出が得られるようになります。
また、このシステムにしたのは、かつてない精度の自動露出機構にしたかった他に、ファインダーを取り外し交換可能にしたかったからでもあります。
今まで一眼レフのように、ペンタプリズム部に受光体を置いたのでは、ファインダーを交換することが難しかったのですが、カメラボディ下部に設置する、このIDM自動露出システムのお陰で、ファインダー交換可能なシステムカメラを作ることができたのです。↓
これは1980年の同じ時期に発売されたニコンF3も同様のシステムにより、ファインダー交換可能なシステムカメラとして発売されています。
マイナス30℃の使用に耐えるメカニカルシャッターを高速側に採用
このペンタックスLXが発売された1980年頃には、フィルム一眼レフカメラの多くが電子制御式シャッターを採用していました。
ただし、電気的な故障時のときや、電池が消耗したときのことを考慮して、1/75秒や1/90秒などの中間速シャッタースピード1つとB(バルブ)では、メカニカルシャッターを採用していました。
しかし、ペンタックスLXでは、極地などの寒冷地での撮影も出来るカメラを目指していたため、高速側シャッターである1/2000秒からX(1/75秒)までのシャッターをメカニカルシャッターとし、マイナス30℃まで正確に作動するカメラに仕上げました。
また、電子シャッターである低速側シャッターでも、マイナス20℃まで正確に作動することが実証されています。
当時、メカニカルシャッターと電子制御式シャッターのハイブリッドカメラは、過酷な使用に耐えるプロ用高級一眼レフの代名詞となりました。
PENTAX LXの性能の高さを、実際に手に取って確認してみた
手に馴染むカメラボディデザイン
ペンタックスLXは、プロ機の条件として「持ちやすく操作しやすいボディーフォルム」であることを、開発段階から目指していました。
どのようなカメラを目指して作るのかという開発コンセプトの中に、「デザイン性」加わることはマーケティング上当然ではありますが、「持ちやすさと操作のしやすさ」をしっかりと開発コンセプトに入れるのは、逆に珍しいことなのではないかと考えます。
というのも、持ちやすさと操作のしやすさというのは、マーケティング上のデザイン性のために犠牲にされることが多々あるからです。
誰もが目を引く美しいデザインのカメラを完成させれば、カタログ広告だけでそのカメラを購入したいと思わせることが出来ますが、持ちやすさと操作のしやすさは、実際に手にしてみないと理解してもらえないからです。
要は、売ることに直結していないため、マーケティングになりにくいということです。
私も、本当に持ちやすく使いやすいカメラというのは、後にも先にもライカM2だけだったように思います。
このペンタックスLXのデザインは、ペンタックスの理念である小型軽量の思想はそそまま受け継ぎ、プロ用高級機でありながら、可能な限りの小型軽量化に成功しています。
また、原寸大の10数個のクレーモデルを作成し、丹念にホールディングテストされて、選びぬかれたものということもあり、グリップなどを装着しなくても持ちやすく(逆にグリップは邪魔?)、手に密着するようなホールディング感覚が得られます。
特に、ホールディングの邪魔になるストラップ吊り金具も、独自形状の取り外し可能なものとしたのは、画期的なことです。
私も昔から吊り金具が指に当たって邪魔だと思っていました。
ボディ形状は上から見ると、丸みを帯びた台形になっていて、これはボディを持つ掌とぴったり合った、全くの相似形であると、カタログにも記載されています。
私個人的には、ライカM2やM3等の単純な「半円形」こそ最高のサイドカーブだと思っていますが、裏蓋を蝶番で開く必要のある一眼レフでは実現が難しい形状なのかも知れません。
この台形という珍しいサイドカーブを持ったペンタックスLXのデザインは、開発者のこだわりが使用者にも伝わってきて、ますます好きになりそうです。
レリーズ位置が分かり易いシャッターボタン
ペンタックスLXの軍艦部レイアウトは、右側に巻上げレバー・シャッターボタン・シャッターダイヤルの3つが配置された、オーソドックスなスタイルです。
「オーソドックスなスタイルこそ、王道にして最強である」と、言わんばかりのシンプルにして美しいデザインです。
その中で、特に存在感を示しているのが、シャッターボタンです。
後期型のペンタックスLXは、シャッターボタンロックレバーを兼ねた指皿が大きくなっていて、シャッターを押し切ったときに、人差し指の腹全体を指皿に包み込まれるような、心地良い感覚が得られます。
シャッターレリーズの感触は、「ここからシャッターが切れますよ!」という分かり易い位置から、短いストロークで「バサンッ!」という音と共に、気持よく切れてくれる。
最近のデジタルカメラは、電磁レリーズというのか、軽く触っただけで、バシャバシャ切れてしまう。
シャッターを切るつもりもないのに、バシャバシャと・・・。(^_^;)
デジタルカメラは、間違ってシャッターを切っても、失うものはないから、重く押しにくいシャッターボタンを作るよりも、軽くシャッターが切れるように作った方が良いという考えなのでしょうが、フィルムカメラは無駄にシャッターを切ってしまうと、フィルムをどんどん失ってしまいます。(^_^;)
このペンタックスLXのシャッターボタンの確実なタッチは、まさに玄人好み・プロ好みの押し具合と言えます。
そして、特筆すべきは、その音です。
一眼レフは、ミラーがスウィングする音と、シャッター幕が動く音の2つが重なった音となるのですが、通常はミラーが昇りきったときのモルトに当たる音と、戻りきったときのダンパーに当たる音が特徴的であり、それが一眼レフ特有のシャッター音となっているようです。
一般的に、ミラーが上下で跳ねる音は、「パカンッ!」とか「パシャン!」とか「カシャン!」とかの比較的軽い(高い)音となるのですが、このペンタックスLXは、何故か「バサンッ!」とか「バタンッ!」とか「バザンッ!」とかの重い音なのです。
ドアの戸当りに該当するミラー当りの部分に、ゴムで出来たゴムダンパーを採用しているのですが、それがこの重厚な音を生んでいるのか、または、特殊ラバーで密封された気密性の良いボディがこの音を生み出しているのか、はたまた、ボディ全体の剛性感のお陰なのか、その辺りは全く分かりませんが、何れにせよ、歯切れよく、小気味良く、そして気持ちの良い音であることは確かです。
手に触れて、ついつい何度でも、シャッターを押してしまいます。(^^)
小刻み巻き上げ可能な巻き上げレバー
ペンタックスLXの巻き上げレバーは、密封構造を実現するために、特殊なシールド型ベアリングを採用しているためか、巻き上げレバーの巻き上げ感触は、極めて遊びが少ない。
軸回転の動きを良くするためには、ボールベアリングを使用するのが一般的ですが、ボールベアリングというのは、意外と遊びがあるものです。
回転軸に僅かなブレも許されないときには、ボールベアリングではなく、より精度の高いローラーベアリングやテーパーローラーベアリングを使用したりするのでしょうが、フィルム巻き上げレバー程度のものであれば、ボールベアリングで十分との考えで、それを使用しているでしょう。
ですから、通常の一眼レフカメラの巻き上げレバーは、意外と遊び(ブレ)が多いものです。
しかし、このペンタックスLXは、巻き上げレバーに微塵のブレもないのです。
その代わり、少々戻りが遅いのが唯一の欠点です。
この巻き上げレバーは、高級フィルム一眼レフには必須の「小刻み巻き上げ可能」な巻き上げレバーなのですが、戻りが遅いため(戻るテンションが弱いのではなく、遅いのです)、5回~6回に分けて小刻みに素早く「チャ・チャ・チャ・チャ・・・」と巻き上げようとすると、そのスピードに戻りスピードが付いていってくれないのです。
巻き上げ回転軸がスカスカなニコンEMの方が、よっぽど素早く小刻み巻き上げが出来ます。(^_^;)
カメラ修理店の方にも巻き上げ軸のオイル・グリースの状態を見てもらったのですが、正常とのことでした。
精密過ぎるというのは、こんなデメリットもあるのですね。
しかし、これは素直に良いことであると受け取っておきましょう。(^^)
取り外し交換可能なファインダー
ペンタックスLXの具体的な開発コンセプトの1つとして、「広大なシステムの充実」というのがあります。
システムカメラのアクセサリー類としては、モータードライブやワインダーや長尺マガジンやオートストロボなどが挙げられますが、ペンタックスLXでは、他のシステムカメラにはないアクセサリーが追加されました。
それは、「交換可能なファインダー」です。
通常タイプのアイレベルファインダーだけでも3種類、ウエストレベルファインダーやマグニファインダー、さらにシステムファインダーとして1つのファインダーベースに3種類のアイピースを付け替えることができるものが使用可能です。
アイレベルファインダーには、ニコンF3のようなHP(ハイアイポイント)ファインダーは存在しないのですが、システムファインダーベースにFB-1にアクションアイピースFC-1を付けると、60mmものハイアイポイントファインダーとなります。
ただし、倍率が0.55倍となるのが残念なところです。
やはり、ペンタックスLXのファインダーは、ファインダー倍率0.90倍のアイレベルファインダーFA-1を使うことが、このカメラの優れた性能をフルに引き出せるような気がします。
仮に、通常のアイレベルファインダーでHP(ハイアイポイント)ファインダーを発売したとしても、倍率は0.85倍や0.8倍などに下げての販売になっていたかと思いますので、やはり、倍率0.9倍のFA-1がベストですね。
折角の高倍率を謳うペンタックスLXなのですから、それを活かしたファインダーを使用するべきだと思います。
後は撮影用途や使用目的に応じて、ウエストレベルや倍率1.35倍のマグニファインダーを使用したりと、自由に交換できるメリットを楽しむのが良いかと思います。
この取り外し可能なファインダーですが、補正ダイヤルロックボタンを押しながら、ファインダーロックレバーを回すことで取り外すことが可能です。
取り外すときの感覚は、「スルッ」と、または「ヌルッ」と、滑るようにスライドして抜けます。
交換ファインダーの密封は、スライド用プラスチックレールの裏に特殊ラバーを採用して実現しています。
これで防塵・防滴が実現できているのかを疑うほど、「スルッ」と抜けるのです。
防塵・防滴構造とのことで、もっとガシガシ引っ張ったり、押したりしないと、交換が出来ないのかと思っていましたので、正直、ちょっと驚きました。
ガタ一つなく、ペンタックスLXの精密感を味わえる瞬間の1つだと思います。
ASAフィルム感度ダイヤル兼露出補正ダイヤル
ペンタックスLXの軍艦部左側には、露出補正ダイヤルと巻き戻しレバーとフィルム感度設定ダイヤルが同軸に設けられています。
これもオーソドックスなスタイルですね。
と、思いきや、意外とそうでもない部分を発見しました!
まず、露出補正ダイヤルを回すときには、補正ダイヤルロックボタンを押しながら1倍~4倍まで、1倍~1/4倍までを1/3段づつのクリックストップで設定できます。
これは普通ですね。
続いて、巻き戻しレバーですが、これも通常のタイプです。
と、思いきや、フィルムを装填して巻き戻し作業を行ってみると、「チリチリチリチリ・・・」と、小さな音と共に、一切のガタやブレやキシミもシャリシャリ感もなく、「スルスルスルスル・・・」と、スムーズ且つ正確に巻き戻しされるのです!
しかも、フィルムカウンター完全連動です!
ちょっと、ビックリですね。(*_*)
最後に残った、フィルム感度設定ダイヤルなのですが、これもちょっと違うのです!
通常は、フィルム感度ダイヤル外周リングを引っ張りあげながら回して設定するのでしょうが、このペンタックスLXでは、露出補正ダイヤルの1×表示の反対側に、四角いボタンが付いていて、それを押しながら露出補正ダイヤルリングを回すことでASA感度を設定できます。
この回転具合というのが、また絶妙で、僅かなブレもなく「スルスルッ、ピタッ」てな感じなのです!
こんな小さなことろまでも、とても精巧に出来ているのでした。(^^)
絞り込みレバー兼ミラーアップ兼セルフタイマーレバー
ペンタックスLXには、一般の一眼レフカメラと同様にセルフタイマーが付いています。
プロやハイエンドユーザーでもセルフタイマーは使用するのか?という疑問もありますが、三脚に固定して撮影するときなど、更なる手ブレ防止のために、セルフタイマーを使用して撮影することはありますので、完全に捨てきることもできないのでしょう。
ちなみに、私はセルフタイマーを全く使用しません。
街中スナッパーなもんでね。(^^)
しかし、このペンタックスLXのセルフタイマーは、他の機構も兼ねた多目的レバーとなっているのです。
- レバーをレンズ側にそのまま倒すと、絞り込み装置となり、被写界深度が確認できます。
- ボタンを押しながらレバーをレンズ側に倒すと、ミラーアップしたまま固定されます。
- ボタンを押しながらレバーをレンズと反対側に倒すと、セルフタイマーとして4秒~12秒の設定ができます。
上記、3つの機能が1つのレバーにまとめられた、多目的レバーなのです。
実にシンプルにして美しいまとめ方だと思います。
ごちゃごちゃと、ボタンやレバーを追加しなかったそのこだわりは、素晴らしいと思います。
ペンタックスLX用に購入したレンズ
ペンタックスLXは、「プロ用高級一眼レフ」と呼ばれるカメラの中では、ダントツの軽量コンパクトボディを誇ります。
しかし、いくら軽量コンパクトボディと言えども、プロ用高級機の中で比べた場合の話しであり、装着するレンズ次第では、大きく重いカメラになってしまいます。
私がカメラを外に持ち出すときには、「スパイダーカメラホルスター」というアメリカ製の商品を使用して、カメラをウエストベルトに固定して(ぶら下げて)使用しています。
そのため、私なりの重量制限があるのです。
その重量は、ズバリ、上限700gです。
もし、このペンタックスLXに、標準レンズである50mmF1.4を装着してしまうと、総重量が810gとなってしまい、軽く上限の700gをオーバーしてしまいます。
そこで、私が選択したのは、「パンケーキレンズ」の代名詞的レンズである、「アサヒペンタックス SMC PENTAX M 40mm F2.8」の準広角レンズです。
このレンズの重量は110gですので、ペンタックスLXに付けても総重量680gとなり、上限700g以下を守ることが可能です。
さらなるメリットは、その薄さです。
パンケーキと呼ばれるだけあって、本当に薄く、ウエストベルトからぶら下げても、不用意にレンズをぶつけてしまう心配も軽減されます。
折角の軽量コンパクトボディであるペンタックスLXを購入したのですから、それを活かすレンズを使用するのがベストだと思います。
ペンタックスLX(PENTAX LX)のまとめ・感想
ペンタックスLXを購入してからというもの、少々驚きの連続でした。
高級一眼レフと言えども、「写真を撮る道具」としての基本的な仕組みは、どのカメラも同じはずです。
一眼レフで「プロ用高級機」として取り扱ったのは、このペンタックスLXが初めてだということもあるのかも知れませんが、おそらく、このような「小さな感覚」にこだわって作られているカメラは、そうそう他には無いのではないかと思います。
それは、「使ってみないと、分からない良さ」に他なりません。
私の中でのカメラの基準は、レンジファインダー式カメラの「ライカ」であり、車の基準は「メルツェデス」という、とても西ドイツ贔屓な、分かり易い男なのですが、どちらも名ばかりではなく、「使ってみて」、「乗ってみて」、初めてその良さを知ることが出来るものです。
正直、このペンタックスLXが、こんなに良いモノであるとは想像していませんでした。
手に取って、使ってみて、初めてその良さが分かるカメラだと言えます。
日本製のカメラで、こんなに良いモノが存在していたとは、驚きです。
こんなモノづくりが出来たのも、1980年という安定成長期の中であったことと、バブル景気への序章であった時期であり、まだまだ「良い物を作れば売れる!」という時代であったからこそだと思います。
しかしながら、結果としてはニコンF3やキヤノンNewF-1のように売れ行きも伸びず、この頃から、ペンタックスのマーケティングに於いての試行錯誤が始まりだしたのです。
それに比べ、ニコンF3を発売したニコンは、この当時からマーケティングに長けたものがありました。
どんな裏工作があったか、どれだけの裏金が使ったのかは知りませんが(^_^;)、スペースシャトルコロンビア号に搭載されるカメラに選ばれるなど、どうすれば売れるカメラにすることが出来るのかを、既に心得ていましたね。
正直、私もニコンF3に、ちょっと心が動かされました。(^_^;)
でも、ペンタックスLXは、真っ正直に「分かる人だけが、使ってくれればいい!」みたいなところが、大好きでした。
実際にフィルムを入れての撮影レビューは、今後の【ペンタックスLX実写レビュー】にてご紹介したいと思いますが、実際に街に出て撮影した印象を一言で言うと、
「めちゃくちゃ、撮りやすい!!」
です。
何がそう思わせるのかをちょっと考えてみたのですが、
- ファインダー見かけ視野が広くて、気持ちが良い
- フォーカシングスクリーンが秀逸で、ピント合わせがビシッと素早く決まる
- シャッターのレリーズ位置がハッキリと分かるので、シャッターを押し切るのに時間が掛からない
- シャッター音が、惚れ惚れするくらい、気持ちが良い
- 巻上げレバーの感触が精密且つスムーズなので、気持ちがいい
こんなことろでしょうか。
結果的に、使用絞りを決めて、ピントを合わせて、フレーミングし直して、シャッターを切るまでのスピードが、段違いに早く済むのです。
ですから、困ったことに、あっという間にフィルムカウンターが進んでしまいます。(^_^;)
それにしても、こんなに撮りやすいフィルムカメラを使うのは、私も久しぶりです。
これからこのペンタックスLXを街中に持ち出して、このカメラが修理不能となるまで酷使して、沢山写真を撮影していきたいと思います。
次回は、ペンタックスLX実写レビューをお届けしたいと思います。
ペンタックスLX(PENTAX LX)諸元表
型式:TTL自動露出式35ミリ一眼レフカメラ
レンズマウント:ペンタックスKマウント
シャッター:チタン幕フォーカルプレーンシャッター
●オート:無段階1/2000~125秒(ASA100、常温・常湿)
●マニュアル:機械式1/2000秒~X(1/75秒)・B 電子式1/60~4秒
シンクロ:FP、Xソケット(専用ストロボ用接点付)
ホットシュー:アイレベルファインダーFA-・FA-1Wにあり
セルフタイマー:機械式約4~12秒、チャージ後の解除可能、(始動はシャッターボタン)
ファンダー:ファインダーおよびフォーカシングスクリーン交換式
ファインダー内表示:①シャッタースピード
●オート:1/2000~1/30秒は(緑)LED、1/15秒~1/4秒は(黄)LED、オーバー・長時間(LT)・およびB・ストロボ充電完了・調光確認表示は(赤)LED
②絞り 交換ファインダーFA-1、FA-1W、(FB-1+FD-1)により可能(直読式)
③露出倍数警告 1×以外は赤マーク
ミラー・絞り機構:スイングバック式多層コート大型クイックターンミラー ミラーアップ、プレビュー機構付 測光ミラー付
フィルム装填:マジックニードル式クイックシュアローディング
巻上げ:レバー式巻上げ角120度、予備角25度、分割巻上げ可能、巻上げ表示付、モータードライブLX、ワインダーLX取付け可能
露出計:IDMシステムTTL中央重点全面測光
●マニュアル測光範囲:EV1~19(F1.4レンズ、ASA100)
●オート測光範囲:ASA100でF1.2・125秒~F22・1/2000秒(EV-5.5~20常温・常湿)
●受光素子:SPDセル1個 絞り込み・ミラーアップ時も自動露出可能
ASA感度目盛:ASA6~3200(露出倍数1×の時)
露出補正:露出補正ダイヤル 4×・・2×・・1×・・1/2・・1/4(1/3ステップダイヤル式)1×でダイヤルロック付、補正警告ファインダー内表示
露出計スイッチ:ON:シャッターボタン、OFF:タイマースイッチ(約25秒でOFF)
電源:JIS-LR44型アルカリマンガン電池、またはSR44型銀電池2個使用
電池消耗警告:電圧低下により表示用LEDが点滅、さらに低下すると消灯。別にシャッターもストップする警告装置あり(オート、マニュアル電子式の場合)
裏ぶた:交換式(長尺マガジンLX、ダイヤルデータLX、データLX装着可能)メモホルダー付
大きさ・重さ:144.5(幅)×90.5(高さ)×50(厚さ)mm 565g(FA-1付ボディー)
144.5(幅)×90.5(高さ)×87(厚さ)mm 805g(FA-1・50mmF1.4レンズ付)
付属品:ファスナーストラップLX、三脚用補助板、視度アジャスター、ボディーのみ販売は他にボディーキャップ、ボディートップキャップ付
販売価格:ボディ(ファインダーなし) 112,000円・アイレベルファインダーFA-1 13,000円(1980年12月ペンタックスLXシステム価格表より)
※上記性能諸元は、1980年12月配布のペンタックスLXカタログから転写して記載しています。
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カメラカタログ通販サイト管理運営・執筆者。
子供の頃、カメラが好きで集めていたカメラカタログを、ネット通販で取り扱う「カメラカタログ通販」の管理運営をしています。
このネットショップサイトの運営を開始してから、自らもフィルムカメラによる写真撮影に目覚め、銀塩写真撮影を再開した、アラフィフ男です。