目次
フィルムコンパクトカメラ「ペンタックスオートロンAF(PC35AF)」実写インプレッション
またまた購入!ちょーダサい?と思っていたフィルムコンパクトカメラをヤフオク!で購入!
また性懲りもなく、フィルムコンパクトカメラを購入してしまいました。
その購入したカメラがこの、
PENTAX オートロンAF(PC35AF)です。
えっ!?それって、以前購入したフィルムコンパクトカメラと同じものじゃないの?
と、思われる方もいるかも知れませんが、今回購入したのは前回購入した「PENTAXオートロンSEデート」の初期型にあたるカメラなのです。
わざわざ敢えて、更に古い時期に発売された同じシリーズの機種を購入するなんて、どうかしていると思うかも知れませんが、ちゃんとした理由があるのです。
それは
「初期型の方がよりコンパクトで軽量な設計になっている」
こと。
それもそのはず、前回購入した「PENTAXオートロンSEデート」には、モータードライブ(自動巻き上げ)機能が内蔵されていますが、今回購入した「PENTAXオートロンAF」は手巻上げ仕様となっているからです。
モーターが無くなった分、よりコンパクトであり、より軽量となっているのです。
さらに仕様電力の消費が少ないため、使用する電池も単3乾電池2本から単4乾電池2本となっていて、さらに軽量となっているのです。
乾電池込みの実測総重量は、「PENTAXオートロンSEデート」が約400gであるのに対し、今回購入した「PENTAXオートロンAF」は約315gであり、約100g近く軽量化できることになります。
コンパクトカメラはその名の通り、コンパクトで軽量であることが身上ですから、この軽量化は大きな意味を持ちます。
機能として失われたモータードライブも、正直、必要ないですしね。
手でジリジリ、写ルンですみたいに巻き上げれば良いのです。
また、過去の記事でも紹介した「【フィルムカメラ人気復活!?】カメラ女子フィルムカメラ入門におすすめのコンパクトカメラ」内にて、おすすめイチオシカメラとして紹介しているのに、そのカメラを持ってもいなければ使ったこともないなんていうのも変な話ですからね。↓
この「PENTAXオートロンAF」ですが、実は私が使用するのではなく、うちのかみさん用のカメラとして購入したものです。
なぜかうちのかみさんも、「私も、フィルム写真撮りたい!」と言い出したものですから、今まで「PENTAXオートロンSEデート」を使わせていたのですが、使っていくうちに今度は、「このカメラ、重いしデカイ!」と言い出したので、使い勝手が同じであるこの「PENTAXオートロンAF」を購入しました。
このカメラは、レンズカバーも付いていますので、無造作にバックの中にほり込んでおいても平気ですし、撮影された写真も一眼レフカメラと同等の描写を見せてくれます。
ちなみに購入価格は2,480円(送料別)でした。
最近、この同型のカメラでも、元箱・取説付きで1万円を上回る取引がされていることを考えると、相当格安に落札できたのではないかと思います。
ペンタックスオートロンAF(PC35AF)って、どんなんカメラ?
この「PENTAXオートロンAF」の機能は、
- 赤外線アクティブオートフォーカス方式
- プログラムAE露出
- 焦点距離35mm開放F値f2.8(5群5枚)レンズ搭載
- 最短撮影距離 70cm
- ファインダー内に距離マークと距離指針表示あり
- ISO設定は手動設定にて、ISO25~400の範囲内にて設定可能
- 電池及びフィルム込み実測重量 約315g
ざっと、こんな感じになっています。
後継機種となる「PENTAXオートロンSEデート」と殆んど変わりませんが、唯一の違いは、モータードライブが無く、手巻き上げであることと、使用する電池が単4乾電池であること、そのためボディサイズが小さく、重量も軽くなっています。
そして、ISO感度設定ですが、「PENTAXオートロンSEデート」はフィルムパトローネに印字されたDXコードを読み取っての自動設定でしたが、この「PENTAXオートロンAF」はISO25~400の範囲内で手動設定出来ます。↓
これは非常に良いことであり、多くのフィルムは表示されているISO感度(ボックススピード)と実際の感度(実効感度)が違うことの方が多く、例えばISO400のフィルムならISO320やISO200、場合によってはISO160などに設定しないとまともに写らない場合が多いのです。
自分の意思通りにISO感度を手動設定できるこのカメラは、カメラを趣味とする人にとってはありがたい機能(自動設定機能がないという機能?)といえるでしょう。
さらに、今現在の多くのオートフォーカスカメラは、「パッシブ方式」という、レンズを通過した光を利用して測距する方式があるのが一般的のようですが、こちらは「アクティブ方式」という、赤外線等を照射して反射波が戻るまでの時間等から測距する方式です。
今までこの測距方式のせいで、オートフォーカスの精度がイマイチだと思っていたのですが、最近、それは測距方式の違いからではなく、このカメラ特有の設計上の問題であるということが分かりました。
この問題を解決する手段としては、
「シャッターボタンを、静かに優しく押す」
ことで、少しは安定するらしいです。
また私個人の解決方法としては、このカメラにはフォーカスインジケーターというピント位置を示す機能が付いていて、それを撮影時、ファインダー内で確認することが出来るため、それを利用しています。
ファインダー下部に「人物1人マーク」と「人物2人マーク」と「山(遠景)マーク」の3つの表示があり、シャッターを半押しすると、指針が動いて現在のピント位置を示すようになっています。
例えば「人物1人マーク」は距離0.8m、「人物2人マーク」は距離1.5m、「山(遠景)マーク」は∞として、自分がピントを合わせたい位置(距離)を指針が指すまで、何度もシャッター半押しを繰り返すという手法です。
これには目測で距離を計る訓練をする必要がありますが、これが出来るようになれば、Rollei(ローライ)35等の目測にてピントを合わせる名機も自由に使いこなせるようになるでしょう。
っていうか、このカメラ、オートフォーカスなんですよね!?
でも、それは正確にピントを合わせたいときにだけすれば良い訳で、それ以外のときは何も考えずバシバシとシャッターを切っていい訳ですから、やはりオートフォーカスの良さはちゃんとあるのです。
こんなことを考えながら撮影するのも、古き良きフィルムカメラを使用する楽しさの一部なのかも知れませんね。
写真撮影に使用したフィルムと現像・デジタル変換は?
撮影に使用したフィルムは、モノクロフィルムである「Rollei Retro 80S(ローライレトロ80S)」です。
最近、今まで常用フィルムとして使用していた「ADOX Silvermax(シルバーマックス)」フィルムが販売中止となったため、今現在の常用フィルムは「ローライレトロ80S」となっています。
このフィルムは特性曲線がS字カーブを描く、シャドウが落ち込みやすい傾向があるフィルムですが、それが私の好みにバッチリハマっています。
なんといっても、その粒状性の良さは特筆モノです。
解像度287本/mm以上という高精細なフィルムは、一般的な中庸感度フィルムのそれをはるかに凌いでいるため、大四つ切り程度に引き伸ばしても、ザラつき感など、殆んど感じることはありません。
「フィルムはそのザラつき感こそが、フィルムらしくて良い!」という方もいるようですが、フィルム解像度が低いと、金属やプラスチックなどの質感が十分に表現出来ないため、私の好みでは有りません。
次に現像に関してですが、今回しようしたフィルムはモノクロフィルムですので、自家現像しています。
使用した現像液は
「PMKパイロ変形処方現像液」
です。
PMKパイロ現像液は、アメリカの写真用品サイト「B&H」から個人輸入できますが、この染色現像液でフィルムを現像すると、ネガが褐色寄りの黄緑色となり、ゼラチンシルバープリントを行うとシャドウ部の分離が良く、ストレートプリントしか行わない今現在の私にとっては、素晴らしい現像液だと思っています。
↓PMKパイロ現像液で現像したフィルム↓
↓通常のMQタイプ現像液で現像したフィルム↓
そしてこの現像液は、高鮮鋭であり、超微粒子の現像液でもあります。
また、Gordon Hutching氏のPMK Pyro現像液調合処方で使用する「メタホウ酸ナトリウム(コダルク)」を「無水炭酸ナトリウム」に変更して、シャドウの落ち込みを多少改善しています。(自家調合現像液に関してはまた機会があるときに詳しく記載したいと思います)
ちなみに、デジタル変換する場合には、この染色現像液であるメリットは活かしきれません。
しかしながら、シルバーゼラチンプリントを行うことを考えると、通常の現像液を使用するのを躊躇してしまうまでになっています。
デジタル変換に関しては下記の記事を参照して下さい。↓
デジタル変換した画像は、約580万画素の画像として元画像を作成し、それを長手方向1280pixになるよう縮小して掲載しています。
ペンタックスオートロンAF(PC35AF)による撮影写真解説
それではペンタックスオートロンAF(PC35AF)で撮影した写真を順番に見ていくことにしましょう。
(アップした写真は全て、原寸大サイズ3089×2048ピクセルの画像を1280×853ピクセルに縮小しています。)
↑数寄屋橋公園にある岡本太郎設計の「若い時計台」を撮影。
空の光を拾って露光はアンダー気味ですが、若い時計台の体?から延びる角?の質感は中々のものです。
↑銀座泰明通りから延びる小路を撮影。
ビル壁面に張り付いたパイプやボックスは迫力があります。外人さんが好きそうな日本の風景です。多少暗いシーンですので、絞りは開放になっていると予想できるため、遠方と前方はボケていますし、全体も多少甘い画質になっています。いくら一眼レフ並みの写りを目指して造られたコンパクトカメラでも、絞り開放の撮影はキツイものがあります。
↑銀座花椿通りから延びる銀座7丁目の小路を撮影。
縦横ビシッと写ります。
↑花椿通りから延びる銀座8丁目の小路を撮影。
愛機であるPENTAX LXでも撮影している場所ですが、SMC-M PENTAX 40mmF2.8レンズとそれほど遜色ない写りをしています。
↑銀座花椿通り銀座RUANビル前の街路樹と自転車と女性広告を撮影しました。
写真下部が白くなっているのは、フィルムローダーを使用して、長巻きフィルムから巻き取ってパトローネ詰めしたフィルムの最終部分だったため。でも、不要な道路部分が切り取られ、結果オーライです。絞りが絞り込まれていると、コンパクトフィルムカメラとは言え、解像度は目を見張るものがあります。
↑日比谷シャンテの裏にある有楽町の小路を撮影。
多少の周辺減光もあいまって、雰囲気は良いですね。
↑銀座コリドー街から1本入った袋小路にあるイタリアン アンジェロの天使のいる小窓をうちのかみさんが撮影。
これはうちのかみさんが撮影したものですが、壁の質感や天使の存在感も良く写っています。
↑銀座並木通りのMaxMaraショーウインドウを撮影。
MaxMaraのショーウインドウに使用されているガラスは、おそらくですが、低反射ガラスを使用しているのではないでしょうか?いつもガラスの反射が少なくて撮影しやすいのです。他の高級ブランド店でもそこまでやってないと思います。ガラス価格はおそらく通常の10倍以上したりして!?
↑銀座並木通りのクロムハーツ東京の正面玄関を撮影。
クロムハーツのロゴオブジェは、店員さんがピカールみたいなので磨いている姿をよく見かけます。
↑銀座コリドー街のスペイン料理店の木製扉を撮影。
写真右側のガラス面は余分でした。木製ドアのみを撮影すればもっと質感あふれた写真になっていたかも?
↑銀座コリドー街の鉄板ダイニング屋さんの外装石材をうちのかみさんが撮影。
コンパクトカメラですから多少の周辺減光は仕方ないですが、それも味となります。ビシッとよく写ります。
↑日本橋ブリジストンアーティゾン美術館を撮影。
新しく出来たブリジストンアーティゾン美術館、私も行ってきました。ネット予約のみの受付で、人数制限もあり、ゆったりと美術品を鑑賞できます。出来たらゼラチンシルバープリントもコレクションに加えてほしいものです。
↑京橋の焼き鳥伊勢廣の旧店舗を撮影。
現在はこの向かいにある新店舗にて営業しています。おそらくこちらの店舗は近々解体されるものと思われます。解体前に歴史ある建物を撮影しておきました。
↑銀座並木通り1丁目にある銀座スターバーをうちのかみさんが撮影。
柱表面の素材感や門灯の質感など、よく写っているのではないでしょうか?
ペンタックスオートロンAF(PC35AF)総合評価
このペンタックスオートロンAF(PC35AF-M)の、気になることや分かったことを綴ってみたいと思います。
まずはISO感度手動設定について。
これは本当に助かります。
今回撮影した写真は、計3本のフィルムの中から選択していますが、1本目と2本目はISO80にて撮影していますが、3本目はISO64に設定して撮影しています。
私なりのゾーンシステムテストをした結果、普段使用しているPENTAX LXでローライレトロ80Sフィルムを使用してISO80設定で撮影した結果と同等にするには、ISO64にする必要があると分かったからです。
このカメラに限らず、フィルムコンパクトカメラ全般に言えることなのかも知れませんが、大体、露出がアンダーになっています。
1DIN(1/3絞り)~1ストップ(1絞り)くらい露出アンダーになっているようです。
おそらくはその当時、フィルムコンパクトカメラを使用する人は素人さんが大前提のため、少しでも手ブレを起こしにくくするためだからではないかと想像しています。
(その考えの延長線上にあるのが、フラッシュ強制発光モードです。撮影する度にフラッシュ禁止モードにしないと、ちょっとでも暗ければフラッシュが焚かれてしまいます。このカメラはフラッシュ強制発光モードという考えがまだ定着していない時期だったため、その面倒さからも開放されています。
このカメラでは手動で思い通りのISO感度を設定できます。
では、ISO感度自動設定のカメラ(PENTAXオートロンSEデート等)で、ISO感度を変更したい場合はどうするのかというと、フィルムパトローネに銀紙(アルミホイル)を貼り、一部を油性マジックで塗り潰して、希望のISO感度のDXコードパターンを描きます。
または、カッターナイフでパトローネの塗装面を削り取って銀面の無塗装状態にし、そこに油性マジックで希望のISO感度のDXコードパターンを描きます。
結構面倒なんです、この作業!
このカメラはISO手動設定ですので、難なく問題をクリアできます。
次にレンズについて。
このカメラは、PENTAXが「一眼レフ並みの描写が出来るコンパクトカメラ」を目指して造られたカメラです。
多くのフィルムコンパクトカメラが、28mmF3.5や35mmF3.5等の開放F値がF3.5のレンズが装填されているのに対し、この「PENTAXオートロンAF」には35mmF2.8レンズが装填されています。
しかも5群5枚という、少々凝った内容のレンズ構成。
レンズ枚数が多いほど、お金掛かりますもんね。
撮影してみても、本当に一眼レフに迫る描写を実現しています。
写真中心部の解像度を他のフィルムコンパクトカメラである「ニコンミニAF600QD」と比べると、明らかな違いが有り、このカメラはビシッと写ります。
決して写真周辺部だけの画質の違いではないことに注目して下さい。
しかしながら、絞り開放F2.8付近では、どうしても甘くなります。
これを回避するにはなるべく高感度のフィルムを使用することでしょうか。
それでも私はISO80の低感度フィルムを使用しますが・・・。
次にオートフォーカスについて。
これは先にも記載しましたが、この時代のオートフォーカスコンパクトカメラ全般に言える問題点だと思います。
これは、「ただひたすら訓練あるのみ!」と言ったところでしょうか?
もう対策の方法は上記の通り、分かっている訳ですからね。
出来ることなら二重像合致式のレンジファインダーカメラである方が望ましいですが、構造が複雑で価格も跳ね上がることから、致し方ないことですね。
そうなると、やはり「コンタックスT」の方が良いということになりますが、被写界深度もありますから、常にピントは正確に合わせなければいけない訳でもありませんので、オートフォーカス機能というのはコンパクトカメラの理念にかなっているのだと思います。
実際に使ってみて、今まで使用していた「PENTAXオートロンSEデート」よりもはるかに使い勝手が良いと感じます。
そのちょうど良い小型感やちょうど良い重量感、そしてボディ全体に金属が使用されているその質感や細かくざらついた塗装面の質感など、持っていてると落ち着きすら感じてしまいました。
個人的な総合評価としては、90点をあげても良いと思います。
「PENTAXオートロンSEデート」は70点、「ニコンミニAF600QD」は80点でしたので、同機種とは言え、70点から90点への点数アップですから、それくらい違いのある良いコンパクトカメラだと思います。
撮影後の感想・まとめ
今から約2年前にヤフオク!で、思わず衝動買いしてしまった、ペンタックスオートロンSEデート(PC35AF-M)から私の銀塩写真ライフが再開し、今では現像液自家調合やバライタ印画紙のゼラチンシルバープリントまでどっぷりとハマってしまった銀塩写真ですが、今回購入したフィルムコンパクトカメラは、気軽に写真と付き合うという意味で基本を思い出すことができ、とても有意義な撮影ができました。
このコンパクトカメラはうちのかみさん用に購入したものですが、私もちょくちょく使っていきたいと思います。(^^)
【フィルムコンパクトカメラ実写レビュー】 ペンタックス オートロンAF PC35AF(1982年発売)|カメラカタログ通販TOPページへ
おすすめ関連カメラカタログはこちら
カメラカタログ通販サイト管理運営・執筆者。
子供の頃、カメラが好きで集めていたカメラカタログを、ネット通販で取り扱う「カメラカタログ通販」の管理運営をしています。
このネットショップサイトの運営を開始してから、自らもフィルムカメラによる写真撮影に目覚め、銀塩写真撮影を再開した、アラフィフ男です。
「オートロンAF」俺の初めての愛機でした。
このカメラから俺の写真趣味が始まりました。
手動ISOのことも言及されてますけど、この機能が秀逸だった。
絞りも何もついていないコンパクトカメラだったけど、ISO感度をあえて変えることによって疑似的に絞り操作したように撮影していました。
元もとは初心者にありがちな使用フィルムと間違ったISO設定をしたまま撮影してしまって、現像の時にラボにそのことを言ったら「フィルム現像の時に増感・減感で何とかなりますよ」って言ってもらったのがきっかけですした。
とにかく写真のイロハを教えてもらったAFだけどアナログ的な意識で撮影できた良いカメラでした。
おっしゃる通り、思い通りに撮影出来る手動ISO設定機能は、今となってはフィルムコンパクトカメラとして希少価値が高いですし、秀逸ですね!
私は未だに気軽に撮影したい時にこのカメラを持ち出して、写真を楽しんでいます。