【フィルムカメラ実写レビュー】 ペンタックス オートロンSE PC35AF-M(1985年発売)


【フィルムカメラ実写レビュー】 ペンタックス オートロンSE PC35AF-M(1985年発売)

目次

フィルムコンパクトカメラ「ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)」実写インプレッション

 

思わず衝動買い!ちょーダサい?30年以上前のフィルムコンパクトカメラをヤフオク!で購入!

 

この「カメラカタログ通販」サイトの運営を開始してからというもの、自分自身、自然とフィルムカメラへの興味が湧いてきました。

フィルムからデジタルへと移行していくときに、「もうフィルムカメラを使うことはないだろう」と高をくくり、所持していたライカM2やライツミノルタCLやライカⅢfや使用していたレンズ群、さらには小学生の頃から地道に買い足していった現像タンクや現像バットや引き伸ばし機などの現像用品を、全て売り払ってしまいましたが、まさかこの期に及んでフィルムカメラを購入してしまうなんて、思いもしませんでした。

そう、フィルムカメラを新たに購入してしまったのです!

この「カメラカタログ通販」のカタログ商品を登録するとき、フィルムカメラの価格相場を「ヤフオク!」で調べていたら、30年前以上前のカメラであるにも関わらず、新品同様に保たれたそのカメラボディとカメラレンズ、さらに恐ろしいまでに安い価格、それを見てどうにも素通りする訳にはいきませんでした。

その購入したカメラがこの、

PENTAX オートロンSEデート(PC35AF-M)です。

ペンタックス オートロンSEデート 35mmレンズシャッターフィルムカメラ(1985年9月配布物)

当時の販売価格は48,000円です。

それがヤフオク!にて、開始価格3,000円にて出品されていました。

入札者は、0人。(^_^;)

さらにオークション終了間際、2,000円に価格が引き下げられていました。

「こりゃ、いっちょ、購入してやっか!」

と、即決価格の2,200円で、思わず衝動買いしてしまいました。(^^)

これから25年ぶりのフィルムカメラ・ライフが再開するかと思うと、なんかワクワクしてきますね!

 

ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)って、どんなんカメラ?

 

【フィルムカメラ実写レビュー】 ペンタックス オートロンSE PC35AF-M(1985年発売)

PENTAX オートロンSEデート(PC35AF-M)は、1985年にペンタックス(現リコーイメージング株式会社)から発売された35mmフィルムコンパクトカメラです。

35mmフィルムとは、フィルム幅35mmの写真用・映画用の両方に利用されてきたフィルムのことであり、写真用は24mm×36mmの画面サイズでフィルムに記録されることになります。

今で言うところの、「フルサイズ」画像センサーを搭載したデジタルカメラは、35mmフィルムの画面サイズと同じ24mm×36mmの撮像素子が搭載されたカメラになります。

最近、フルサイズセンサーが搭載された「フルサイズミラーレスカメラ」がニコン・キヤノン・ソニー各社から出揃い、カメラマニアの中でも話題になっていますが、ボディ価格で25万円前後と、お高いですよね。

でも、この「PENTAX オートロンSEデート(PC35AF-M)」なら、2,200円という激安価格でフルサイズカメラが手に入るのです!(^^)

最近はCDやDVDにフィルム画像を焼き付けてくれるサービスもあり、私はネットにアップするだけということから、約600万画素の画像に仕上げるサービスを利用していますが、最高約2,400万画素の画像に仕上げてくれるサービスもあります。

2,400万画素なら、本当にフルサイズ画像センサーデジタルカメラと変わらない画像に仕上がりそうです。

35mmフィルムカメラとフルサイズカメラの共通する良さとは、「ボケ量」です。

センサーサイズの小さいデジタルカメラでは、どうしてもボケ量が少なくなり、ポートレート撮影等で人物にピントを合わせてバックをボカすなんてことが、難しかしくなります。

この「PENTAX オートロンSEデート(PC35AF-M)」なら、2,200円で購入したとはいえ、れっきとしたフルサイズ!バックのボケを楽しむことも出来そうです。

機能的には、

  • 赤外線アクティブオートフォーカス方式
  • プログラムAE露出
  • 焦点距離35mm開放F値f2.8(5群5枚)レンズ搭載
  • 最短撮影距離 70cm
  • ファインダー内に距離マークと距離指針表示あり
  • 電池込み重量 約420g

ざっと、こんな感じです。

今現在のオートフォーカス方式は「パッシブ方式」という、レンズを通過した光を利用して測距する方式が一般的ですが、こちらは「アクティブ方式」という、赤外線等を照射して反射波が戻るまでの時間等から測距する方式ですので、オートフォーカスの精度にちょっと不安が残ります。

プログラムAE自動露出も、プログラム線図が公開されていないため、前回、私が推測する「PENTAX オートロンSEデート(PC35AF-M)プログラム線図」を公開しましたが、今回の撮影結果を見て、それがどの程度正しいかが明らかになるでしょう。

レンズは開放F値f2.8という、当時のコンパクトカメラとしては大口径のレンズを使用していますが、どの程度の写りを示すのかも楽しみです。

以上のことを撮影した写真で明らかにしてみたいと思います。

 

写真撮影に使用したフィルムと現像・デジタル変換は?

 

撮影に使用したフィルムは、前回の【フィルムカメラ実写レビュー】ニコンミニAF600QD(1993年3月発売)フィルムとデジタルの違いを作例写真で紹介|ニコンミニとリコーGRDを比較のときと同じく、富士フィルムのベルビア100を使用しました。

この富士フィルム「ベルビア100」の特徴は、

  • カラーリバーサルフィルム(ポジフィルム・スライドフィルム)
  • フィルム感度:ISO100
  • シャープネス:極めて高い
  • 階調:硬調
  • 彩度:超極彩度

となっています。

前回使用した同様のフィルムですので、比較検討もし易いかと思います。

現像とDVDへのデジタル変換は、前回と同様にビックカメラ有楽町店にて行いました。

カラーフィルム現像・デジタルプリント 総合価格表(ビックカメラ有楽町店)

現像は「リバーサル現像」の「フジフィルム」の「35mmスリーブ(36枚撮り)」の「ノーマル」にて、1,260円(税込)となっています。

フィルムのデジタル変換価格表(FUJIFILM/Kodak/Photobank)

デジタル変換は「Kodak」の「フォト DVD」の「マルチ16BASE」の「35mmポジ」にて、基本料金514円+1シートあたりの料金822円=合計1,336円(税込)となっています。

撮り終わった36枚撮りリバーサルフィルム1本を、現像・デジタル変換する費用の合計は、2,596円(税込)となります。

デジタル時代となった今では、高いようにも感じますが、フィルム全盛の時代では当たり前のように掛かる費用でしたし、その分、写真1枚撮るのに高い意識を持って撮影することが出来ます。

飲食店で、自分が食らう飯の写真を撮るなんてのは、写真がタダだからしていることなのかも知れませんね。(^_^;)

 

ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)による撮影写真解説

 

それではペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)で撮影した写真を順番に見ていくことにしましょう。

(アップした写真は全て、原寸大サイズ3089×2048ピクセルの画像を1024×678ピクセルに縮小しています。)

鍛冶橋交差点付近にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

富士フィルムベルビア100をビックカメラ有楽町店で購入して、まず最初に撮影したのがこちら。

フォーカスロックは使用せずに、そのままシャッターを切っています。

天候は晴れで、推測EV値は13EV前後。

写真を見る限り、絞りは推測F8.0前後で、全体的にピントは合っています。

使用したフィルムが「硬調」且つ「超極彩度」ということもあり、メリハリがある写真になっています。

 

京橋2丁目ブレスコーヒーにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

よく利用しているカフェ店内にて撮影。

コーヒーカップにピントを合わせましたが、ピンぼけ。

よく見ると、後ピンになっています。

最短撮影距離70cmを意識して撮りましたが、もう少し引いて撮影する必要があったようです。

周辺減光も相まって、写真の雰囲気は悪くありません。。

 

京橋2丁目ブレスコーヒーにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

同カフェにて、ガラス越しの道路を走るバスにピントを合わせて撮影。

赤外線アクティブAFは、ガラス越しと遠距離の被写体へのピントに弱いとのことですが、ちゃんとピントは合っていました。

 

銀座中央通り歩行者天国にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

逆光の光を強く拾って、露出アンダーになっています。

一眼レフのTTL中央部重点測光なら、路上の風景がここまで露出アンダーにならないような・・・。

フィルムが「硬調」なため、ラチチュードも狭いようですが、夕暮れ時の雰囲気は伝わります。

 

銀座5丁目銀座コアユザワヤにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

銀座5丁目銀座コアユザワヤにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

銀座4丁目のユザワヤ店舗内にて撮影した写真。

洋裁をするかみさんに付き合って、よく来ます、ここ。(^^)

推測EV値は7.0前後でしょうか。

絞りは開放付近だと思いますが、思ったほどバックはボケていません。でも、ボケの質は悪く有りません。

 

銀座4丁目歌舞伎座地下木挽町広場にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

歌舞伎座地下にある木挽町広場にて撮影。

デジカメだと、適正露出を得ようと、もっと明るい写真になってしまいますが、フィルムコンパクトカメラは全般的に露出アンダー気味になって、コクのある画になりました。

 

銀座4丁目歌舞伎座前にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

歌舞伎座前から晴海通りを撮影。

手前の人物にフォーカスロックしましたが、奥のバスにピントが合っています。

このカメラ、フォーカスロックを上手く使うのは、難しそうです。(^_^;)

推測EV値は11.0EV前後、推定F値はf8.0前後でしょうか。

ちょっと明るいだけで、大きく絞り込まれてしまうようです。

この写真、何故か、コンデジで撮ったような画になっていますね。(^_^;)

 

銀座3丁目パリのワイン食堂にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

東銀座にあるレストラン「パリのワイン食堂」の店舗内にて撮影。

推測EV値は9.0EV、推測F値はf4.0前後でしょうか。

結構暗い店内だと感じましたが、このカメラのプログラム線図では、ちょっと絞り込まれて、バックもあまりボケてくれません。

 

銀座柳通りからガス灯通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

銀座ガス灯通りを撮影。

レンズの歪曲収差も少ないようで、縦がビシッと真っ直ぐに写っています。

このカメラ、絞り込んでのパンフォーカスのほうが、より決まる写真になるようです。

 

銀座3丁目ヒルズアヴェニュー銀座店にて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

銀座3丁目にある「ヒルズアヴェニュー」のショーウィンドウを撮影。

ガラス越しの撮影だからか、全くどこにもピントが合っていない写真になってしまいました。(^_^;)

 

丸の内仲通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

丸の内仲通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

丸の内仲通りにて。

手前の看板にピントを合わせて、どの程度バックがボケるかを見たくて撮影してみました。

上の写真の推測EV値は11.0EV前後、推測F値はf5.6前後でしょうか。

またもや、意外とバックは大きくボケてくれませんね。

下の写真の推測F値はf4.0前後でしょうか。

バックのボケ量は多くなったものの、あまり美しいボケ味とは言えないですね。

 

丸の内仲通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

手前のバリケードにピントが合っていて、店舗のガラスドアは僅かにボケています。

でも、割りと良い風情に撮れているのではないでしょうか。

 

丸の内仲通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

丸の内仲通りにて ペンタックス オートロンSE PC35AF-M

黄色のテーブルとイスの発色が綺麗だと思い、撮影しました。

イメージ通り、黄色のテーブルとイスだけが、見事に浮かび上がりました。

無加工、無修正でこの写真になるのは、やはりフィルムカメラの良さですね。

 

ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)総合評価

 

このペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)の、気になることや分かったことを箇条書きにしてみました。

 

  • 赤外線アクティブ方式AFのため、やっぱりガラス越しの撮影は弱い。
  • ファインダー内距離指針は、あまり役に立たない。(事前にテストをして、指針の位置での合焦メートル数を把握しておけば使えるかも?)
  • プログラム線図は絞り開放ハイスピードプログラムAEではなく、どちらかと言えば、絞り込みロースピードプログラムAEよりであるため、開放絞りが使えるのは暗い店内などに限られること。
  • 開放絞り付近のボケ味は、あまり綺麗ではないこと。
  • オートフォーカスの精度は、信頼性に欠けること。(十分な面積を持った”面”でないと、ピントが合いづらい)
  • レンズは歪曲収差等も少なく、縦横がビシッと決まること。
  • 絞り値がF5.6前後での使用が、ボケ量は少ないながらもボケ味は綺麗だと感じたこと。

 

等々が気付いた点です。

ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)は1985年に発売された、オートフォーカスコンパクトカメラとしては初期のものですので、オートフォーカスの精度に関しては、前回テストした1993年発売のニコンミニAF600QDの方が、精度が高いように感じました。

シャッター半押しによるフォーカスロック機構が付いているのですが、中々思ったところにピントが合ってくれません。

これならマニュアルフォーカスカメラの方が、早くて楽かも知れませんね。(^_^;)

ボケ量ボケ味に関してですが、ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)で採用されているプログラム線図は、当初私が推測したプログラム線図とは少々違ったようで、思ったようなボケ量ボケ味を表現することが出来ませんでした。

今回撮影した写真のボケ量から、訂正した推測プログラム線図が下図となります。

 

訂正版ペンタックスオートロンSEプログラム線図画像

上図は推測したプログラム線図ではありますが、上図から、このペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)で絞り開放が使えるのは、EV7.0までの暗い室内・店舗内での撮影に限られることが分かります。

晴れた日中はEV13前後ですので、シャッタースピード1/125秒・F8.0となりますので、自動的に絞り込まれてしまい、ボケ味を楽しむのは難しそうです。

しかしながら、曇の日の日中や夕方などでしたら、絞り値はF5.6前後となりますので、適度なボケ味を楽しむことが出来そうです。

多くのフィルムコンパクトカメラが、上図のようなプログラム線図なのかも知れませんが、シャッタースピードが1/30秒くらいまでは絞り開放使用であって欲しかったですね。

総合的な評価としましては、オートフォーカスの精度があまり良くなく、電池込み重量も420gほどと少々重いカメラではありますが、

  • ワンタッチで開くレンズカバーが電源のON/OFFを兼ねていて使いやすいこと
  • フラッシュが強制自動発光ではなく、使いたい時だけポップアップさせて使えること
  • あまり使用しませんが+1.5EVの露出補正スイッチが付いていること
  • レンズの性能がコンパクトカメラにしてはかなり良いこと(ニコンミニAF600QDで感じる樽型歪曲収差も少ないです)

等々の良い点を加味すると、70点ぐらいの点数は付けてあげても良いかと思います。

ちなみに、前回テストしたニコンミニAF600QDは、オートフォーカスの精度もそれほど悪くなく、電池込み重量は200g弱のコンパクトなカメラですが、スイッチ類が予算削減のためゴム製になっていて使いづらいことと、電源スイッチを入れる度に、フラッシュ自動発行モードに戻ってしまうことなど、小さなことですが、使い勝手が悪いことを加味して、総合評価点数は80点くらいです。

 

ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)写真一覧

 

今回テスト撮影した写真の一覧です。

オートフォーカスでピントが合っていない他の写真も掲載しています。(^_^;)

撮影後の感想・まとめ

 

ヤフオク!で、思わず衝動買いしてしまった、ペンタックスオートロンSE(PC35AF-M)ですが、結論としては、結構楽しめるフィルムコンパクトカメラでした。

つい最近、ネットニュースで「インスタ映え」というのが過去のものとなりつつあるという記事を目にしましたが、写真をガチガチに加工する「盛った写真」というのに、多くの人が飽き飽きしてきている、と言うのです。

「#無加工」、「#無修正」というハッシュタグが、顕著に増えているのだそうです。

加工した写真は、写真とは言えないと、私は思っています。

それは「写真」ではなく、「画像」と言うのが正しいのではないでしょうか。

フィルムカメラで撮影した写真は、正真正銘の無加工・無修正の「写真」です。

もしかすると、これからまたフィルムカメラの良さが見直されて、フィルムも使用できるデジタルカメラ、そんな「ハイブリッドカメラ」が発売されたら、面白いですよね。

今回もまたフィルムカメラの良さを再認識できました。(^^)

 

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