マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto
葉巻/シガー情報
ブランド名 | マイファーザー・シガーズ |
シリーズ名 | マイファーザー ザ・ジャッジ |
ビトラ | グランドロブスト |
葉巻の長さ | 127mm (5インチ) |
葉巻の直径(リングゲージ) | 23.8mm (60) |
ラッパー | エクアドル産 スマトラ種 |
バインダー | ニカラグア産 コロホ99種 & クリオロ98種 デュアルバインダー |
フィラー | ニカラグア産 |
生産国 | ニカラグア製 |
価格 | 3,200円 (2024年11月現在) |
この”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto”の葉巻/シガー喫煙レビュー
今回、私が葉巻/シガー喫煙レビューする葉巻は、11歳のときから葉巻を巻き始め、”コイーバ”や”モンテクリスト”などの葉巻も加工してきた、キューバ出身の偉大なマスター・ブレンダーである、”ドン・ペピン・ガルシア/Don Pepin Garcia”が作り上げた葉巻、”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto”です。
この葉巻は私にとって、1本3,000円を超える高価な葉巻となるため、マイファーザー(ドン・ペピン)ブランドの葉巻の中でも喫煙レビューするのが遅くなってしまいましたが、今回は意を決して購入してみることにしました。
”リングゲージ60”という、とても太くて大きく見える葉巻ですが、長さは5インチであるため、”ロブスト”ビトラと同等の長さとなります。
この葉巻はエクアドル産スマトラ種のラッパーを使用しており、スマトラ種というのは原種のインドネシア産のものよりもエクアドル産の方が上質であることを、多くの葉巻専門家も認めているようですし(例えばロッキー・パテル等)、バインダーはニカラグア産のコロホ99種とクリオロ98種の鉄壁の組み合わせとも言えるデュアル・バインダー仕様となっているため、味としては間違いなく旨い葉巻であることが想像できます。
私にとっては高価な葉巻であるため、気軽にリピート購入出来る葉巻には成り得ないことから、今回の喫煙レビューで十分にこの葉巻の味を堪能してみようと思っています。
参考までに、ドン・ペピンは、2001年に息子の”ハイメ・ガルシア/Jaime Garcia”と共に、キューバからアメリカ合衆国へ移住し、ニカラグア最大規模のタバコ葉栽培農園”アガノルサ SA/Aganorsa SA”のオーナーである、”エドゥアルド・フェルナンデス/Eduardo Fernandez”の協力のもと、小さな葉巻工場”エル・レイ・デ・ロス・ハバノス”社を、フロリダ州マイアミに立ち上げます。
ドン・ペピンが最初に作った葉巻ブランドは、2003年に”ピート・ジョンソン”と協力して作った”タトゥアヘ/Tatuaje”なのですが、これが、”シガーアフィショナード/Cigar Aficionado”で大絶賛され、葉巻の生産が追い付かなくなり、2006年には、もっと高い生産能力を持つ、”タバカレラ・キュバーナ/Tabacalera Cubana”葉巻工場をニカラグアに設立し、現在に至ります。
さて、この葉巻に私は、どのような味を感じ取ることが出来るのか、とても楽しみです!
それでは、”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto”葉巻/シガーの喫煙レビューを開始しましょう。
葉巻外観・コールドドロー
まずは外観から見ていきましょう。
エクアドル産 スマトラ種のラッパーで巻かれた”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto”は、コロラドマデューロ色(茶褐色)~マデューロ色(褐色)をしていて、葉巻表面は滑らかな仕上げでマット面に近い艶を持ち、目立った葉脈などもなく美しい外観をしています。
葉巻に巻かれているバンドロール(シガーリング)は3本あり、1本は葉巻フット側の広がりを抑える役目のクリーム色のもので、真ん中のサブバンドロールには”THE JUDGE”と記載されていて、葉巻ヘッド側のメインバンドロールは、マイファーザーのロゴが描かれた豪華な作りとなっています。
葉巻を指で摘まんでみると、全体的にしっかりと巻かれており、葉巻表層部も比較的硬い仕上げとなっています。
葉巻ボディからは、それほど強くはありませんが、牛舎系の良い香りがします。
この葉巻は、平均室温20℃・湿度66%に維持した自家製ヒュミドール内にて、31日間の加湿・熟成を行っています。
念のため、この葉巻もヒュミドールに入れる前に予備乾燥(プレ・ドライシング)を2日間行っています。
葉巻喫煙を開始する6時間前に、葉巻を湿度49%のシリカゲル(乾燥剤)入りドライ・ボックス(葉巻の空き箱)に移しての、”ドライ・ボクシング”を行っています。
シガーカッターでヘッド(吸い口側)をフラットカットして、コールドドロー(火を点けずに吸う)を行うと、ダークチョコレートの風味を伴うローストした麦わらやウイスキーオーク樽の味がして、引き抵抗は重くも軽くもなく、良好と言えます。
今回は、ブタンガス詰め替えタイプのソフトフレームライター(黄色い炎)を使って、葉巻フット(火を点ける側)から1cm程離して、葉巻を水平から15度の角度で固定し、回転させつつ、縁部分から燃焼させ、中央部分まで火が回るまでしっかりと炙り(約3分間)、葉巻フットのラッパーが2mm~3mmほど灰になって着火したことを確認してから、喫煙を開始します。
葉巻テイスティング序盤(1/3ファーストサード)
※最初に、葉巻(プレミアムシガー)は、葉巻1本の喫煙が進むごとに複雑な味(フレーバー)が順番に、または交互に訪れることを楽しむものであるため、この葉巻/シガー喫煙レビューも、葉巻を3等分に最初の1/3を序盤(ファーストサード)、真ん中の2/3を中盤(セカンドサード)、最後の3/3を終盤(ファイナルサード)と分けて喫煙レビューを記載したいと思います。
序盤は、爽やかさを含む濃厚な杉の木と土とカカオ豆の味からスタートする。
直ぐに、少量の革の味も追加される。
レトロヘイルにより副鼻腔に煙を通すと、ごく僅かな苦みを含む適量の繊細なペッパー(黒胡椒)があることを確認する。
副流煙の香りは、とても甘く香ばしい香りがする。
旨い!
だが、今まで吸ってきたドン・ペピンの葉巻の味とは、少し異なるような気がする。
”ペピン・ペッパー”と呼ばれている、ドン・ペピン特有のペッパー自体に味があるたっぷりの繊細なペッパーが感じられないことと、煙にはごく僅かな酸味を含んでいることが、私にそう思わせる理由のようだ。
燃焼挙動は良好で、太いリングゲージの葉巻だが、火は均一に燃え進む。
着火後の引き抵抗(ドロー)は重くも軽くもなく、適度な吸引力でたっぷりの煙を口蓋に引き込むことが出来る。
喫煙開始18分時点では、副流煙の香りがさらに甘く香ばしくなり、素晴らしい香りとなる。
背景には、カカオ豆の甘さがある。
だが、ほんのごく僅かな酸味があることで、ダークチョコレートの甘さには至らない。
この葉巻の味の系統としては、過去に喫煙レビューした”オリバ セリー V メラニオ ロブスト”の喫味を思い出す。
共通していることは、両者ともに”エクアドル産スマトラ種”のラッパーが使用されていることだ。
今回喫煙しているこの”ザ・ジャッジ”は、”セリー V メラニオ”ほど酸味は強くはないが、両者ともエクアドル産スマトラ種ラッパーの影響を大きく受けていると言えそうだ。
エクアドル産スマトラ種ラッパーの味は、個人的に好みの味ではないのだと今回の喫煙で気付かされたが、”オリバ セリー V メラニオ”葉巻シリーズが世界的に評価されている葉巻であることを考えると、多くの葉巻愛好家の方にはきっと受けが良いのだろう。
葉巻テイスティング中盤(2/3セカンドサード)
喫煙開始から35分以降の中盤は、まず1回目の灰折を行うことと、葉巻フット側に巻かれているサブバンドロール(シガーリング)を剥がすことから始める。
灰は少し諸そうだが、しっかりと形を保ったまま折ることが出来るし、バンドロールも簡単、且つ、綺麗に剥がすことが出来る。
中盤の味は序盤の味を引き継ぎ、爽やかさを伴う濃厚な土とカカオ豆と杉の木と少量の革の味に、背景にあるカカオ豆の甘さを味わいながら吸い進むが、背景にパンには成り切れない小麦粉の風味が追加される。
ストレングス(ニコチン量)はミディアム、フレーバー(風味)はミディアム~ミディアムフルと言ったことろか。
ドン・ペピンの葉巻の中で、最高に旨いと感じた”マイファーザー ル・ビジュー 1922 トロ”と比べると、この葉巻は複雑さに欠けると言わざるを得ないが、嫌な苦みや鋭さも無く、ニコチン量も少ないことから、長時間の喫煙でも快適に吸い続けることができそうだ。
喫煙開始61分時点では、少量のドライフルーツの甘酸っぱさが追加される。
続いて、ごく僅かだがウイスキーオーク樽(ローストしたモルト)の風味が追加される。
ほんの数分前に、”この葉巻は複雑さに欠ける”と私に言わせておいて、この中盤終わり頃になって急に複雑な味となってくるとは、なんと卑怯な葉巻だろうか。
喫煙終盤に入った以降も、味の変化があるのか楽しみだ。
葉巻テイスティング終盤(3/3ファイナルサード)
喫煙開始から70分以降の終盤は、まず2回目の灰折を行うことと、メインバンドロール(シガーリング)を剥がすことから始める。
終盤の味は、序盤・中盤の味を引き継ぐが、ダークローストされたカカオ豆の味が強さを増す。
背景には、カカオ豆の甘さだけでなく、ウイスキーオーク樽の風味を強く感じるようになる。
ロースト感が強くなったことから、喫味も少し強さを増す。
喫煙開始95分時点で、嫌な苦みや鋭さは無いが、ロースト感がかなり強さを増したことで喫味も強くなってきたことから、この辺で喫煙を終了することとした。
葉巻テイスティング総評
総評として、この”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト/My Father The Judge Grand Robusto”は、爽やかさを含むカカオ豆と杉の木と土と少量の革の味に、ごく僅かな苦みを含む適量の繊細なペッパー(黒胡椒)、背景にカカオ豆の甘さとウイスキーオーク樽の風味が味わえる葉巻だと言える。
喫煙序盤は、この葉巻にも同じく使用されているエクアドル産スマトラ種ラッパーの味の影響を受けた”オリバ セリー V メラニオ”葉巻シリーズの味でスタートするが、喫煙中盤終わり頃からはウイスキーオーク樽の風味や少量のドライフルーツの甘酸っぱさを味わえる”マイファーザー ル・ビジュー 1922 トロ”の味に近くなり、終盤からは複雑な味を楽しむことが出来た。
ただ、味が複雑化する時点が遅すぎたため、既にロースト感も増し始めていることから、純粋なウイスキーオーク樽の風味を楽しむことが出来なかったのは残念だ。
味としては間違いなく”マイファーザー ル・ビジュー 1922 トロ”に軍配が挙がるのだが、ニコチン量が多いことから吸い疲れを起こしやすく、その点、今回喫煙した”マイファーザー ザ・ジャッジ グランドロブスト”は、ニコチン量はミディアムであることから、吸い疲れを起こすことなく最後まで楽しめたことは個人的に評価したい。
欲を言えば、序盤から中盤までの味が”オリバ セリー V メラニオ ロブスト”のような喫味ではなく、”ドン・ペピン”の葉巻らしい”ペピン・ペッパー”の喫味であればもっと良かったのだが、そう思うのは、世界的に評価されている”オリバ”社の葉巻の味があまり好みではない私が、きっと悪いということなのだろう。
葉巻を吸い始めてまだ2年弱の経験しか持たない私は、葉巻の旨さを感じる能力が開発され切っておらず、実際にこの2年弱という短い期間でも葉巻に対する好みが大きく変わっていることに、自分でも驚く。
若いころには分からなかったが、何事も10年以上経験しなければ、本人の生まれ持った才能に依らず、知り得ないことが沢山あると思えるようになった。
10年以上葉巻趣味を続けることが出来ていれば、きっと葉巻の味に対する好みも、今とは大きく変わっていることだろう。
今回喫煙した葉巻の葉巻独自5段階評価は、4.5/5点寄りの4.0/5点という評価が、今の私にとって妥当な評価だと判断した。
参考までに、この”マイファーザー ザ・ジャッジ/My Father The Judge”葉巻シリーズは、”シガーアフィショナード/Cigar Aficionado”にて、87ポイント~94ポイントという評価を得ており、この”グランドロブスト”ビトラに於いては、92ポイント~94ポイントという高評価を得ています。また、この”グランドロブスト”ビトラは、2017年の葉巻トップ25(93ポイント7位)と2021年の葉巻トップ25(93ポイント17位)の2度の入賞を果たしています。
追記:この葉巻は、”シガーアフィショナード/Cigar Aficionado”にて、2024年のシガー・オブ・ザ・イヤー(98ポイント第1位)に選ばれました。
喫煙時間
喫煙時間:105分
味覚フレーバーグラフ
チョコレート(カカオ豆) | ★★★★☆ |
スィーツ(甘さ) | ★★★☆☆ |
クリーム(滑らかさ) | ★★★☆☆ |
コーヒー | ★★☆☆☆ |
トースト(パン・小麦) | ★★☆☆☆ |
木(杉・オーク等) | ★★★★☆ |
革 | ★★☆☆☆ |
土(素朴さ) | ★★★★☆ |
草(わら・ハーブ含む) | ★☆☆☆☆ |
ナッツ | ★☆☆☆☆ |
ペッパー(胡椒・唐辛子) | ★★★☆☆ |
フルーツ(酸味含む) | ★★★☆☆ |
葉巻/シガー 初心者・女性へのおすすめ度
おすすめ度:★★★★☆
世界各国葉巻値段比較(アメリカ・ヨーロッパ・日本)
- アメリカ国内参考価格 $13.30 (1ドル148円換算にて1,968円)
- ヨーロッパ圏内参考価格 €18.70 (1ユーロ160円換算にて2,992円)
- 日本国内価格 ¥3,200 (参考日本販売価格倍率1.29倍)
葉巻重量
- 購入時重量 21.05g
- 予備乾燥後重量 20.59g
- 加湿・熟成後重量 20.78g (葉巻ヘッドカット後重量20.24g)
- ドライシング後重量 20.09g (葉巻ヘッドカット後)
- △減少重量 (△減少割合) △0.15g (△0.74%)
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