アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto
葉巻/シガー情報
| ブランド名 | アレック・ブラッドリー (アレック & ブラッドリー) |
| シリーズ名 | ゲートキーパー |
| ビトラ | ロブスト |
| 葉巻の長さ | 127mm (5インチ) |
| 葉巻の直径(リングゲージ) | 19.8mm (50) |
| ラッパー | エクアドル産 ハバノ2000種 サングロウン |
| バインダー | ニカラグア産 |
| フィラー | ドミニカ共和国産 & ニカラグア産 |
| 生産国 | ドミニカ共和国製 (2021年7月からはホンジュラス製) |
| 価格 | 1,700円 (2025年4月現在) |
この”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto”の葉巻/シガー喫煙レビュー
今回、葉巻/シガー喫煙レビューする葉巻は、アメリカ合衆国フロリダ州ハリウッドに拠点を置く、1996年に設立された垂直統合型ではない葉巻メーカーの”アレック・ブラッドリー/Alec Bradley”からの1本である、”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto”です。
前回喫煙した”アレック・ブラッドリー プレンサド チャーチル”は、ホンジュラスの”ライセス・クバーナス/Fábrica de Tabacos Raíces Cubanas”で製造されていますが、今回喫煙する”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト”は、社長である”アラン・ルービン”の2人息子が会社内に立ち上げたサブ・ブランドとなる”アレック & ブラッドリー/Alec & Bradley Premium Cigar”の葉巻であり、ドミニカ共和国の”エルネスト・ペレス・カリージョ/Ernesto Perez Carrillo”が所有する”タバカレラ・ラ・アリアンサ/Tabacalera La Alianza”で製造が開始されています。
しかしながら、日本財務省の”製造たばこの小売定価の認可”に登録されている情報によると、この葉巻はホンジュラス製となっており、さらに詳しく調べてみると、2021年7月からはタバカレラ・ラ・アリアンサの生産能力(製造コスト?)の問題で、ホンジュラスにあるプラセンシアの”タバコス・デ・オリエンテ・ダンリ S.A./Tabacos de Oriente Danli S.A.”工場に生産が移されたとのことでした。
正直、この葉巻をアレック・ブラッドリー2本目の葉巻として選んだのは、E.P. カリージョの工場で作られた葉巻を吸ってみたかったからなのですが、そうでないことを後から知って残念でなりません。
勿論、葉巻業界のプロフェッショナル達は、異なる葉巻農園で栽培されたタバコ葉を使用しても、同じような味に仕上げることが出来るのでしょうが、やはり本来の味を試してみたかったというのが本音です。
”E.P. カリージョ”ブランドの葉巻は、今では値段が高すぎて手が出ないですからね。(^^;)
葉巻製造がE.P. カリージョの工場から、プラセンシアの工場に移ったとしても、エルネスト・ペレス・カリージョとアレックとブラッドリーの3人で開発された葉巻である事に変わりはありませんので、そのことに期待して喫煙を楽しみたいと思います!
参考までに、”アレック・ブラッドリー”は、”アラン・ルービン/Alan Rubin”により設立された葉巻メーカーですが、名前の由来は自身の2人息子となる”アレック・ルービン”と”ブラッドリー・ルービン”の名にちなんで命名されました。
アレック・ブラッドリーの最初の葉巻となる”ボギーズ・ストギーズ/Bogey’s Stogies”は、ゴルファー用に作られた葉巻ですが、葉巻不況時代と言われる1997年~1999年に販売したことなどの理由からビジネスとして失敗し、600万ドルの負債を抱えてしまいます。
財政破綻から抜け出す方法を模索している中、葉巻の専門家であり”モンテロ・シガーズ/Montero Cigars”の創設者でもある”ラルフ・モンテロ/Ralph Montero”と出会ったことから、2人は手を組み、ラルフの人脈であるダビドフの”ヘンケ・ケルナー/Henke Kelner”と引き合わせてもらうことで、成功への道筋が見え始めます。
ヘンケ・ケルナーの協力を経て作られた”オクシデンタル・リザーブ/Occidental Reserve”はマイルドボディの低価格帯葉巻であり、タバコ専門店に自社の葉巻を置いてもらえるよう営業を仕掛けることで、ある程度の顧客を獲得することに成功しています。
2007年には、初めてのフルボディ葉巻となる”テンパス/Tempus”葉巻シリーズを販売し、今までで最大の成功を収めます。
2011年に販売された、今回喫煙レビューする葉巻の”アレック・ブラッドリー プレンサド チャーチル/Alec Bradley Prensado Churchill”は、2011年のシガーアフィショナードでシガー・オブ・ザ・イヤー(96ポイント第1位)に輝き、現在の葉巻業界に於ける地位を獲得しています。
また、2023年にアラン・ルービンは、世界最大のタバコ会社である”スカンジナビアン・タバコ・グループ/Scandinavian Tobacco Group (STG)”に、7,250万ドル(100億円以上!?)で会社を売却することに成功(?)しています。
それでは、”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto”葉巻/シガーの喫煙レビューを開始しましょう。
葉巻外観・コールドドロー

まずは外観から見ていきましょう。
エクアドル産 ハバノ2000種 サングロウンのラッパーで巻かれた、”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto”は、コロラドマデューロ色(茶褐色)~マデューロ(褐色)をしていて、葉巻表面の艶は全体的に少なめですが、素朴感のある美しい仕上がりです。
葉巻に巻かれているバンドロール(シガーリング)には、”メドゥーサの首を持つペルセウス像”のメドゥーサの首の部分が描かれており、ペルセウスの指とメドゥーサの頸椎は金色で描かれています。
葉巻を指で摘まんでみると、しっかりと巻かれてはいますが、葉巻表層部には適度な弾力を備えています。
葉巻ボディからは、牛舎系とナッツ系の香りを合わせたような、素晴らしい香りがします。
この葉巻は、平均室温22℃・湿度64%に維持した自家製ヒュミドール内にて、51日間の加湿・熟成を行っています。
葉巻喫煙を開始する8時間半前に、湿度45%のシリカゲル入り葉巻をドライ・ボックス(葉巻の空き箱)に移しての、”ドライ・ボクシング”を行っています。
シガーカッターでヘッド(吸い口側)をフラットカットして、コールドドロー(火を点けずに吸う)を行うと、刺激のないローストされた濃厚な麦わらの味がして、引き抵抗は少し重めですが、良好と言えます。
今回は、ブタンガス詰め替えタイプのソフトフレームライター(黄色い炎)を使って、葉巻フット(火を点ける側)から1cm程離して、葉巻を水平から15度の角度で固定し、回転させつつ、縁部分から燃焼させ、中央部分まで火が回るまでしっかりと炙り(約3分30秒間)、葉巻フットのラッパーが2mm~3mmほど灰になって着火したことを確認してから、喫煙を開始します。
葉巻テイスティング序盤(1/3ファーストサード)

※最初に、葉巻(プレミアムシガー)は、葉巻1本の喫煙が進むごとに複雑な味(フレーバー)が順番に、または交互に訪れることを楽しむものであるため、この葉巻/シガー喫煙レビューも、葉巻を3等分に最初の1/3を序盤(ファーストサード)、真ん中の2/3を中盤(セカンドサード)、最後の3/3を終盤(ファイナルサード)と分けて喫煙レビューを記載したいと思います。
序盤は、僅かな酸味を含む深煎りローストされた杉の木とナッツと土の味からスタートする。
直ぐに、少量の革の味が追加される。
背景には、焼き切れていない生焼けのパンから発生するような酸っぱさを伴う小麦粉の風味がある。
先日喫煙レビューした”アレック・ブラッドリー プレンサド チャーチル”とは、全く違う嗜好性(喫味)の葉巻と言って良い。
事前情報で得た”アレックブラッドリーの葉巻は、味に統一性が無い”というのは、本当だったようだ。
着火後の引き抵抗(ドロー)は少し重く、口蓋を煙で満たすにはゆっくりと長く煙を引き込む必要がある。
ストレングス(ニコチン量)はミディアム、フレーバー(風味)はミディアム~ミディアムフルと言ったところか。
燃焼挙動はさほど良くはなく、常に片燃えを抱えながら燃え進むため、適宜火入れ修正が必要のようだ。
喫煙開始20分時点で、1回目の灰折を行う。
灰は片燃え状態だったが、適度な感触と共に折れる。
副流煙の香りからは、甘く香ばしい香りがする。
葉巻テイスティング中盤(2/3セカンドサード)

喫煙開始から25分以降の中盤は、序盤での酸味を伴う味が影を潜め、背景にあった酸っぱさを伴う生焼けのパンが、しっかりと焼成されたパンの味となる。
旨い!
まだ少し小麦粉の風味は残っているが、中盤以降は私の嗜好性に近い味になってきた。
だが、現段階では先日喫煙レビューした”アレック・ブラッドリー プレンサド”葉巻シリーズに、分があるだろう。
喫煙開始37分時点で、ローストされたカカオ豆の味が追加され、味に安定感が出る。
喫煙開始41分時点で、2回目の灰折を行うと共にメインバンドロール(シガーリング)を剥がす。
バンドロールは変わった形状をしており、その下にサブバンドロールが隠れていたことが、この時点になって初めて分かる。
サブバンドロールよりもメインバンドロールを先に剥がすことは初めてだ。
葉巻テイスティング終盤(3/3ファイナルサード)

喫煙開始から50分以降の終盤は、中盤の味がさらに安定感を増し、土とカカオ豆の味を主体に、背景にある良く焼いたトースト(パン)の香ばしい風味で吸い進む。
喫煙序盤からこの喫味であったなら、この葉巻をベタ褒めしていたことだろう。
喫煙開始60分時点で、サブバンドロールを剥がす。
喫煙開始70分時点で、3回目の灰折を行う。
喫煙開始78分時点では、ロースト感が増してくるが、嫌な苦みや鋭さは全くないため、まだまだ吸い進めることが出来る。
喫煙開始95分時点の、煙に少しの苦みと熱を感じだした段階で、喫煙を終了することとした。

葉巻テイスティング総評
総評として、この”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト/Alec Bradley Gatekeeper Robusto”は、僅かな酸味を含む深煎りローストされたカカオ豆と土と杉の木と少量のナッツの味に、適量のペッパー(黒胡椒)、背景に良く焼いたトースト(パン)の風味が味わえる葉巻だと言える。
喫煙序盤では焼き切れていない生焼けのパンから発生するような酸っぱさがあったのだが、喫煙中盤終わり頃からは影を潜めると共に、香ばしいカカオ豆と土の味に、良く焼いたトースト(パン)の風味が主体になることで、この葉巻が素晴らしい出来の葉巻であることを確信することが出来た。
最初からこの喫味であったならば、どれほど良い葉巻になっていたことだろうか。
加えて、着火後の引き抵抗(ドロー)が少し重いこともマイナス評価となるだろう。
もしかすると、この引き抵抗の重さが、序盤の喫味に悪影響を及ぼしていたのかも知れない。
今回喫煙した”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト”はプラセンシアの工場で巻かれているのだが、発売当初に製造していた”E.P.カリージョ”が運営する”タバカレラ・ラ・アリアンサ/Tabacalera La Alianza”で巻かれていた時の味とは、大きく異なるのではないかと推測する。
勿論、プラセンシアは最終的に素晴らしい味に仕上げているのだが、正直言うと、”E.P.カリージョ”が作る葉巻の味を味わってみたかったというのが、本音だ。
それには、私は元々プラセンシア製の葉巻が、あまり好みでは無いということも関わっている。
明日に喫煙レビューを予定している”アレック・ブラッドリー ブラックマーケット ロブスト”もプラセンシア製造の葉巻であるため、過度な期待はせずに喫煙してみたいと思っている。
とは言え、今回喫煙した葉巻は、中盤以降はプラセンシアのオリジナル・ブランドの葉巻よりも私好みの味であったことと、割安な価格設定がされていることも鑑みて(次回入荷時には大幅な値上げがありそうだが…)、葉巻独自5段階評価は、4.5/5点寄りの4.0/5点とすることとした。
参考までに、この”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー/Alec Bradley Gatekeeper”葉巻シリーズは、”シガーアフィショナード/Cigar Aficionado”にて、87ポイント~95ポイントという高評価を得ており、この葉巻シリーズの”ロブスト”ビトラは、87ポイント~95ポイントという高評価を得ています。また、この”ロブスト”ビトラは、2020年の葉巻トップ25(95ポイント第7位)に入賞しています。
喫煙時間
喫煙時間:96分
味覚フレーバーグラフ (追記レビュー時毎に更新)
| チョコレート(カカオ豆) | ★★★☆☆ |
| スィーツ(甘さ) | ★★★☆☆ |
| クリーム(滑らかさ) | ★★☆☆☆ |
| コーヒー(苦み含む) | ★★☆☆☆ |
| トースト(パン・穀物) | ★★★☆☆ |
| 木(杉・オーク等) | ★★★☆☆ |
| 革 | ★★☆☆☆ |
| 土(素朴さ) | ★★☆☆☆ |
| 草(わら・ハーブ含む) | ★☆☆☆☆ |
| ナッツ | ★★★☆☆ |
| ペッパー(胡椒・唐辛子) | ★★★☆☆ |
| フルーツ(酸味含む) | ★★☆☆☆ |
葉巻/シガー 初心者・女性へのおすすめ度 (追記レビュー時毎に更新)
おすすめ度:★★★★☆
世界各国葉巻値段比較(アメリカ・ヨーロッパ・日本)
- アメリカ国内参考価格 $12.19 (1ドル148円換算にて1,804円)
- ヨーロッパ圏内参考価格 €9.99 (1ユーロ160円換算にて1,598円)
- 日本国内価格 ¥1,700 (参考日本販売価格倍率0.99倍)
葉巻重量
- 購入時重量 13.34g
- 加湿・熟成後重量 13.11g (葉巻ヘッドカット後重量12.99g)
- ドライシング後重量 12.91g (葉巻ヘッドカット後)
- △減少重量 (△減少割合) △0.08g (△0.62%)
ギャラリー
追記:葉巻喫煙レビュー 葉巻喫煙日:2025/6/22
今回で2本目となる、”アレック・ブラッドリー ゲートキーパー ロブスト”(自家製発酵器熟成)を喫煙する。
今回喫煙する葉巻は、29日間自家製発酵器内で熟成させた後、平均室温27℃・湿度69%の自宅ヒュミドールにて7日間加湿・熟成させたものを吸う。(計36日間熟成)
今日も昨日に引き続き、そのままでも十分に旨いこのリーズナブルにして上質な葉巻を、”自家製発酵器熟成”させたらどのような味になるのかを確かめたくて、実験してみることにした。
喫煙前に7時間ほど、湿度53%のシリカゲル入りドライシング・ボックス内で、”ドライ・ボクシング”を行い、全体の0.51%の適切と言える葉巻内包湿度が減少していることを確認してから喫煙を開始する。
着火はブタンガス詰め替え式ソフトフレームライターを使用して、約3分かけて着火する。
自宅リビングソファーにて、2021年に公開されたアメリカのSF映画である、”デンジャー・ゾーン/Outside the Wire”を見ながら喫煙する。
この映画は、主演・プロデュースに”アンソニー・マッキー”が加わっており、最初は”また、ヒーロー物の映画だろう”と高を括っていたが、予想に反して脚本の進行も良く出来ており、無駄なドンパチ・シーン(戦闘シーン)も無く、ただのヒーロー物の映画でも無かった。
だが、”Rotten Tomatoes”のレビューでは、支持率37%、平均点は4.90/10となっていて、意外と低い評価であることに驚く。
ま、大きな”見せ場”が無いことが、評価に影響しているのだろう。
ま、そんな映画の話はさておき、早速、葉巻レビューに入りたいと思う。
序盤は、爽やかさを伴うローストされた杉の木と革と土の味からスタートする。
直ぐに、ナッツに近いローストしたカカオ豆の味が追加される。
背景には、少量の小麦粉とトーストしたパンの風味がある。
旨い!
この葉巻の味は、良質の”プラセンシア・オリジナル・ブランド”葉巻の味と言って良いだろう。
前回この葉巻を喫煙したときには、少しの酸味が気になってしまったが、今回は清々しい爽やかさとして捉えることが出来た。
さらに、前回喫煙した葉巻の序盤では、焼き切れていない生焼けのパンから発生するような酸っぱさを伴う小麦粉の風味を感じたが、今回は、小麦粉の風味は少し残っているものの、序盤からしっかり焼成されたパンの風味を味わることが出来る。
この喫味の違いは、”自家製発酵器熟成”の成果というよりは、今回喫煙している葉巻コピーの引き抵抗(ドロー)の良さがそうさせたようだ。
レトロヘイルにより副鼻腔に煙を通すと、小麦粉の風味を含む鼻腔を僅かに刺激する適量のペッパー(黒胡椒)があることを確認する。
引き抵抗(ドロー)は重くも軽くも無く、適度な吸引力でしっかりとした量の煙を口蓋に引き込むことが出来る。
喫煙開始60分を超えると、煙に少しの苦み成分が含まれるようになる。
喫煙時間80分時点の、苦みが顕著になり始めた段階で、喫煙を終了することとした。
前回この葉巻を喫煙したときよりも、より旨さを感じることが出来て、この葉巻の価値の高さを証明できたようだ。
苦みに関しては、ドライシングによる葉巻内包湿度の減少率を0.80%程度まで引き上げていれば、苦みの発生は緩和されていただろうと推測する。
今回の自家製発酵器熟成された葉巻の葉巻独自5段階評価は、序盤からトーストされたパンの味が味わえることと、酸味を感じることなく喫煙出来たことは評価するが、喫煙開始60分以降からは多少の苦みが発生したことを鑑みて、前回と同様の4.5/5点寄りの4.0/5点とすることとした。
喫煙時間82分。


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