A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto
葉巻/シガー情報
| ブランド名 | A.J. フェルナンデス |
| シリーズ名 | ニューワールド ドラド |
| ビトラ | ロブスト |
| 葉巻の長さ | 139.7mm (5.5インチ) |
| 葉巻の直径(リングゲージ) | 20.6mm (52) |
| ラッパー | ニカラグア産 H2000種 サングロウン (ドラド農場産) |
| バインダー | ニカラグア産 クリオロ’98種 (ドラド農場産) |
| フィラー | ニカラグア産 (ドラド農場産他) |
| 生産国 | ニカラグア製 |
| 価格 | 2,800円 (2025年1月現在) |
この”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”の葉巻/シガー喫煙レビュー
今回、私が葉巻/シガー喫煙レビューする葉巻は、ニカラグアに大規模な葉巻工場とタバコ葉農園を持つ葉巻メーカーの、”A.J. フェルナンデス/A.J. Fernandez”からの1本である、”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”です。
このA.J. フェルナンデスの新しい葉巻シリーズは、2023年8月から日本に正規輸入が開始されましたが、”ニューワールド”葉巻シリーズの頂点に位置付けられる葉巻なのだそうです。
価格的にも”ロブスト”ビトラにて1本2,800円しますので、確かに”頂点”と言えるでしょう。(^^;)
過去に”ニューワールド”の葉巻は何本か喫煙してきましたが、当初は”A.J. フェルナンデス ニューワールド プーロエスペシャル ショートチャーチル”がその中で一番旨い葉巻だと思っていましたが、現在ではたっぷりのペッパーと強い喫味が楽しめる”A.J. フェルナンデス ニューワールド カメルーン ショートロブスト”のほうが私好みの葉巻となっています。
A.J. フェルナンデスの葉巻全体としては、”A.J. フェルナンデス ベジャス アルテス マデューロ ロブスト”と”A.J. フェルナンデス ディアス デ グロリア ショートチャーチル”が最高の味であると私は捉えていますが、価格的にもこの2本にどれほど対抗できる味であるかが、今回の葉巻レビューのポイントとなってきそうです。
この”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト”は、A.J.フェルナンデスのドラド農場で初収穫したタバコ葉を使用していることを特徴としており、ラッパーにはドラド農場で5年前に収穫されたニカラグア産ハバノ2000種サングロウン、バインダーには同じくドラド農場で5年前に収穫されたクリオロ’98種、そしてフィラーには他の農場で栽培されたタバコも少し混合されていますが、その多くはドラド農場産のタバコ葉が使用されています。
謂わば、この葉巻は単一の国で栽培されたタバコ葉のみを使用した”ピューロ・シガー”であるだけでなく、さらに単一の農場で初収穫されたタバコ葉のみを使用した、真の”ヴィンテージ・シガー”と呼べるものであると考えます。
”ロッキーパテル”や”プラセンシア”も”ヴィンテージ・シガー”を製造していますが、プラセンシアのヴィンテージ・シガーはタバコ葉の収穫時期が同じというだけで、ホンジュラス産とニカラグア産の混合となっていますし、ロッキーパテルに於いてはラッパーの熟成年月だけを意味しているため、真のヴィンテージ・シガーとは言えなさそうです。
単一の国、単一の農場、同じ時期に収穫されたタバコ葉を使用して巻かれた葉巻が、一体、どのような味となるのか、喫煙するのがとても楽しみです!
参考までに、A.J. フェルナンデスの社長である、”アブデル・J・フェルナンデス”は、1979年生まれのキューバ人ですが、24歳になった2003年に、ニカラグアへ移住します。
最初は叔父が経営する、”ネストル・プラセンシア”で短期間働きましたが、すぐにエステリに自身の小さな葉巻工場をオープンし、他社ブランドの葉巻製造請負を開始します。
製造を請け負う他社ブランドとしては、”ロッキーパテル”や”ディーゼル”などの、有名葉巻メーカーの葉巻も請け負うことが出来ました。
2008年には自社のタバコ葉農園を所有することになり、2010年には”A.J. フェルナンデス”初の自社ブランド葉巻である、”サンロターノ/San Lotano”葉巻シリーズの製造・販売することとなり、現在の有名なA.J.ブランドを築き上げました。
それでは、”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”(日本での財務省登録名称は”AJF フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト”)葉巻/シガーの喫煙レビューを開始しましょう。
葉巻外観・コールドドロー

まずは外観から見ていきましょう。
ニカラグア産 H2000種 サングロウンのラッパーで巻かれた、”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”は、コロラドマデューロ色(茶褐色)~マデューロ色(褐色)をしていて、葉巻表面に艶は少なく、少しざらついた質感をしており、外観的には素朴な印象を受けます。
葉巻に巻かれているバンドロール(シガーリング)は1本ですが、葉巻フットには広がりを防ぐためのリボンが巻かれており、メインバンドロールには黄色を主体とした下地の中に、”NEW WORLD”という葉巻シリーズ名と、大陸に辿り着いた船から降りた王様(?)が旗を持っているような絵が描かれており、裏面には”DORADO”という葉巻名が書かれています。
葉巻を指で摘まんでみると、しっかりと巻かれていながら、葉巻表層部には程良い弾力を備えています。
葉巻ボディからは、強い牛舎系の良い香りがします。
この葉巻は、平均室温18℃・湿度67%に維持した自家製ヒュミドール内にて、37日間の加湿・熟成を行っています。
葉巻購入時の状態が多少過加湿気味であると判断したため、1日間だけ予備乾燥(プレ・ドライシング)を行っています。
葉巻喫煙を開始する7時間前に、葉巻をドライ・ボックス(葉巻の空き箱)に移しての、”ドライ・ボクシング”を行っています。
シガーカッターでヘッド(吸い口側)をフラットカットして、コールドドロー(火を点けずに吸う)を行うとローストした干し草の味がして、引き抵抗は重くも軽くもなく、良好と言えます。
今回は、ブタンガス詰め替えタイプのソフトフレームライター(黄色い炎)を使って、葉巻フット(火を点ける側)から1cm程離して、葉巻を水平から15度の角度で固定し、回転させつつ、縁部分から燃焼させ、中央部分まで火が回るまでしっかりと炙り(約2分50秒間)、葉巻フットのラッパーが2mm~3mmほど灰になって着火したことを確認してから、喫煙を開始します。
葉巻テイスティング序盤(1/3ファーストサード)

※最初に、葉巻(プレミアムシガー)は、葉巻1本の喫煙が進むごとに複雑な味(フレーバー)が順番に、または交互に訪れることを楽しむものであるため、この葉巻/シガー喫煙レビューも、葉巻を3等分に最初の1/3を序盤(ファーストサード)、真ん中の2/3を中盤(セカンドサード)、最後の3/3を終盤(ファイナルサード)と分けて喫煙レビューを記載したいと思います。
序盤は、爽やかで純粋な杉の木の味からスタートする。
直ぐに、少量のナッツと革の味が追加される。
出だしは”オリバ セリー V メラニオ ロブスト”系統の味だと言って良いだろう。
だが、喫味はこの葉巻のほうが雑味がなく純粋な味で、オリバの上を行っているように思う。
背景には、ごく僅かな甘さを伴うカカオ豆の風味がある。
悪くない味だ。
ストレングス(ニコチン量)はミディアム、フレーバー(風味)はミディアム~ミディアムフルと言ったところか。
レトロヘイルにより副鼻腔に煙を通すと、刺激の無い適量の繊細なペッパー(白黒混合の胡椒)があることを確認する。
喫煙開始12分時点では、背景にあったカカオ豆の風味がメインの味に昇格し、土の味も追加されて重厚感が増してくるが、酸味ではない爽やかさを伴っていることから、喫煙は軽快だ。
副流煙の香りには、甘さ控えめの香ばしい香りが含まれている。
燃焼挙動はとても良好で、火入れ修正を必要とすることなく、火は均一に燃え進む。
着火後の引き抵抗(ドロー)は重くも軽くもなく、適度な吸引力でたっぷりの煙を口蓋に引き込むことが出来る。
喫煙開始22分時点で、1回目の灰折を行う。
灰はしっかりとした感触と共に、とても綺麗に折ることが出来る。
葉巻テイスティング中盤(2/3セカンドサード)

喫煙開始から25分以降の中盤は、序盤の味を引き継ぐが、爽やかさは少し弱まり、軽いパンの風味が追加される。
旨い!
今更ながらだが、複雑で良く出来た葉巻であることに気付く。
喫煙開始36分時点では、序盤に感じた純粋な杉の木の味は、オーク(ナラの木)の味へと変化する。
それは即ち、ウイスキー・オーク樽の風味が追加されたことを意味している。
この葉巻はA.J.フェルナンデスの新しい農園で初めて収穫されたタバコ葉のみ(フィラーの一部は他のもの)で作られた葉巻とのことだが、それにも関わらず、よくもまぁ、このような複雑な味の葉巻を作り上げることが出来るものだと感心する。
喫煙開始46分時点では、ストレングス(ニコチン量)はミディアムのままで、フレーバー(風味)はミディアムフル~フルボディとなる。
喫煙開始47分時点では、葉巻を灰皿に置いた衝撃で、うっかりと灰を折ってしまった。
葉巻テイスティング終盤(3/3ファイナルサード)

喫煙開始から55分以降の終盤は、序盤の味から変化した中盤の味を引き継ぎ、僅かな爽やかさを伴う濃厚なカカオ豆と土の味を主体に、背景にあるパンやウイスキー・オーク樽の風味を味わいながら吸い進めることが出来る。
ストレングス(ニコチン量)はミディアムからミディアムフルへと移行し、フレーバー(風味)は完全なフルボディとなり、それは爆発する。
喫煙開始60分時点で、A.J.フェルナンデス特有の大きなバンドロール(シガーリング)を剥がす。
バンドロールは接着剤の量が少し多いようで、剥がすことに苦心する。
この終盤に於いて言えることは、この葉巻はA.J.の葉巻としてはかなり強い喫味の葉巻であるということだ。
既に60分以上も喫煙しているというのに、まだ半分ぐらしか吸っていないため、ヤニクラ(ニコチン酔い)にならないよう気を付けながら吸い進むことを心掛ける。
喫煙開始77分時点で、実質3回目の灰折を行う。
この時点での喫味は既にかなり濃厚だが、嫌な苦みや鋭さとは無縁の葉巻だと言える。
喫煙開始111分時点で、実質4回目の灰折を行う。
不思議なことに、この時点でも喫味はさらに強まることも無く、基本の味もそれほど劣化はしていない。
喫煙開始120分時点の、限界ギリギリまで喫煙して、吸う煙に熱を感じた段階で喫煙を終了することとした。


葉巻テイスティング総評
総評として、この”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”は、爽やかさを伴う濃厚なカカオ豆と土とオーク(ナラの木)と少量の革とナッツの味に、刺激の無い適量の繊細なペッパー(白黒混合の胡椒)、背景にカカオ豆の甘さにパンやウイスキーオーク樽の風味が味わえる、少し喫味は強めだがフルフレーバーの複雑な葉巻だと言える。
序盤では爽やかさが少し際立つため、私好みの葉巻からは少し離れているように感じたが、中盤からは爽やかさも落ち着き、パンやウイスキーオーク樽の風味が現れたことで複雑さが増し、とても旨い葉巻であることに気付くことが出来た。
それにしても、新しい農園の初収穫のタバコ葉で巻かれた葉巻でありながら、よくこのような味を作り上げることが出来たものだと感心する。
きっと、この農園のタバコ葉が本当の実力を発揮できるようになるのは、今回のタバコ葉の出来を土壌改良にフィードバックさせた、今から5年後又は10年後となるのだろう。
今現在でも良いタバコ葉が出来ている訳だから、行く末恐ろしく旨いタバコ葉に仕上げることが出来るようになるのではないだろうか。
この葉巻は、私にとっては少し強い喫味の葉巻であったため、過去最高の味とはならなかったが、今回の葉巻独自5段階評価は迷うことなく4.5/5点を与えるに相応しい葉巻だと判断した。
参考までに、この”A.J. フェルナンデス ニューワールド ドラド ロブスト/A.J. Fernandez New World Dorado Robusto”葉巻シリーズは、”シガーアフィショナード/Cigar Aficionado”にて、93ポイント~94ポイントという高評価を得ており、この葉巻シリーズの”ロブスト”ビトラも、93ポイント~94ポイントという高評価を得ています。また、この”ロブスト”ビトラは、2022年の葉巻トップ25(93ポイント14位)への入賞を果たしています。
喫煙時間
喫煙時間:122分
味覚フレーバーグラフ (追記レビュー時毎に更新)
| チョコレート(カカオ豆) | ★★★★☆ |
| スィーツ(甘さ) | ★★★☆☆ |
| クリーム(滑らかさ) | ★★★☆☆ |
| コーヒー | ★☆☆☆☆ |
| トースト(パン・穀物) | ★★☆☆☆ |
| 木(杉・オーク等) | ★★★★☆ |
| 革 | ★★★☆☆ |
| 土(素朴さ) | ★★★★☆ |
| 草(わら・ハーブ含む) | ★☆☆☆☆ |
| ナッツ | ★★☆☆☆ |
| ペッパー(胡椒・唐辛子) | ★★★☆☆ |
| フルーツ(酸味含む) | ★★☆☆☆ |
葉巻/シガー 初心者・女性へのおすすめ度 (追記レビュー時毎に更新)
おすすめ度:★★★☆☆
世界各国葉巻値段比較(アメリカ・ヨーロッパ・日本)
- アメリカ国内参考価格 $11.50 (1ドル148円換算にて1,702円)
- ヨーロッパ圏内参考価格 €15.80 (1ドル160円換算にて2,528円)
- 日本国内価格 ¥2,800 (参考日本販売価格倍率1.32倍)
葉巻重量
- 購入時重量 16.33g
- 予備乾燥後重量 16.04g
- 加湿・熟成後重量 15.82g (葉巻ヘッドカット後重量15.57g)
- ドライシング後重量 15.47g (葉巻ヘッドカット後)
- △減少重量 (△減少割合) △0.10g (△0.64%)


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