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【モノクロ35mmフィルムカメラ白黒写真の撮影・フィルム現像・印画紙プリント技術とその方法】
モノクロフィルム写真の良さとは?
カラー写真全盛のこの時代に、モノクロ写真を撮られている方はどのくらいいるでしょうか?
写真のことを ” カラー写真 ” と言う人も、今では少なくなってしまいました。写真というのは ” 色が付いている ” ことが当然という認識になっています。
スマホのカメラやデジカメでも、今、モノクロ写真を撮っている方の多くは ” 格好良いから ” であるとか、 ” 逆に新鮮だから ” という理由からではないでしょうか?
しかし、モノクロ写真(白黒写真または黒白写真)、特にモノクロフィルム写真の良さは、あまり目にしないという希少性によるものだけではありません。
モノクロフィルム写真の魅力についてもっと知ってもらいたいという気持ちで、これからお話したいと思います。
私がモノクロ写真を始めたきっかけ
私がモノクロ写真を始めたのは、40年以上前のフィルム写真を始めた当初からです。
私の写真歴は天体写真からスタートしますが、カラー写真が台頭した40年前でも天体写真はモノクロ写真がスタンダードでした。
また、天体写真は高感度フィルムを使用することが常でしたので、カラーフィルムでは良い高感度フィルムが無かったことも関係しているのかも知れません。
つまりは、 ” 選択肢がないから ” という理由でモノクロ写真を始めました。
その後、天体写真の趣味からカメラ写真趣味へと移行するのも時間を必要とせず、一般的な被写体を撮影するようになります。
被写体が風景やスナップ等の一般的なものですので、自然とカラーフィルムを選択するようになりした。
しかし、カラーフィルムであってもネガフィルムではなく、リバーサルフィルム(ポジフィルム)を使用して撮影していました。
ネガフィルムは調子が反転して記録されるフィルムですが、リバーサルフィルムは見たままの調子で記録されるフィルムのことです。
なぜ、リバーサルフィルムを使用していたのかと言うと、 ” 色鮮やかだから ” です。
ネガフィルムは少々くすんだ色調になりますが(今ではそれがウケているようですが・・・)、リバーサルフィルムは見たままの色調にコクを足したような鮮やかな色調になるからです。
また、雑誌に掲載する写真を撮影するプロのカメラマンは、皆、リバーサルフィルムを使用している、ということを聞いたのも大きなきっかけです。
つまりは、 ” 格好良いから ” という理由がプラスされています。
私がまだ高校生の頃ですので、 ” 格好良いこと ” に憧れるのは、自然なことだと思います。
そして私が成人すると、今度は ” ライカ ” にハマることになります。
私が使用していたライカフィルムカメラは、1950年代製造のカメラボディとレンズでしたので、当然、モノクロフィルムを使用する前提で作られています。
10年ほどライカカメラでモノクロフィルム写真を撮影していましたが、カラーフィルムを入れて撮影したのは、たった一度だけです。
” 二度とカラーフィルムなんか使うもんか! ” それがその時の感想です。
くすんだ色調にハレーションを起こしているその写真は、ただの記録写真であり、私好みの”絵”とはかけ離れたものでした。(ハレーションはモノクロで撮影しても同じですが、カラーではイメージが変わります)
その後、時代はフィルムからデジタルへと移行し、私もそれが自然だと受け入れて、仕事の中でデジタルカラー写真を活用していました。
デジタル写真黎明期は、解像度を競う時期と言って良いでしょう。
どのカメラメーカーも、画素数の多さを競って、新しいデジタルカメラを次々と発売していました。
その画素数争いが落ち着いた今、フィルム写真が見直されてきているという訳です。
しかし、流行は、またもやカラーフィルム写真です。
昔からモノクロ写真が好きで熱中していた私は、以前の感動を取り戻したく、フィルム写真再流行の流れに乗って、フィルムモノクロ写真を再開しようと思い立った訳です。
そこで1つの疑問が湧き上がりました。
モノクロデジタル写真では、昔のモノクロフィルム写真のような感動は得られないのか?という疑問です。
モノクロデジタル写真とモノクロフィルム写真の違いは?
モノクロフィルム写真とモノクロデジタル写真の違いを確かめるべく、私は撮り比べテストを行いました。
このテスト結果は、私の運営するサイトである ” カメラカタログ通販 ” 記事 ” なぜフィルムで写真を撮るのか?その本当の魅力とは?【フィルムとデジタルの白黒写真の違いを実写比較】 ” に記載していますが、ここでは、その結論だけを記載したいと思います。
それは
” モノクロデジタル写真では、モノクロフィルム写真と同じようなトーンを再現することは難しい ”
ということです。
デジタルカメラのイメージセンサーは画像解像度に於いては圧倒的優位ですが、トーン(調子)に於いてはダイナミックレンジの狭さもあり、シャドウからハイライトまでのトーンを美しく再現出来ないというのが私の結論です。
もちろん、デジタル写真でもRAW現像時に各パラメーターをいじくりまわしてフィルム写真風に仕上げることも可能だと思いますが、少なくとも私は出来ませんし、また、デジタル画像編集に精通した方でも、モノクロフィルムで撮影した写真と全く同じように仕上げることは不可能ではないかと思っています。
モノクロ写真を見ただけで、それがモノクロデジタル写真か、またはモノクロフィルム写真なのかを判別出来るというのも理由の1つです。
これは言葉で説明するより、実際にモノクロフィルムによって撮影された写真を見ていただいて、その違いを判断してもらうことの方が早いかと思います。(この投稿に掲載している写真は全てRollei RETRO 80SモノクロフィルムとPMKパイロ現像液によって撮影・現像したものです)
モノクロフィルム写真は、販売されている多くのモノクロフィルム(その当時よりフィルムの種類が多いかも?)によっても ” 絵 ” が変わりますし、組み合わせる現像液(こちらも昔より格段に種類が増えていますし、発展もしています)によってはさらに大きく ” 絵 ” が変わります。
さらに現像液の温度や撹拌方法や希釈率によっても ” 絵 ” が変わってきますので、モノクロフィルム写真が一概に良いとは言い切れないのですが、自分が目指す ” 絵 ” を求めて化学実験を繰り返すという楽しさは、デジタルカメラでは得られないものだと、私は考えています。
フィムルモノクロ写真、あなたもやってみませんか?
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