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【モノクロ35mmフィルムカメラ白黒写真の撮影・フィルム現像・印画紙プリント技術とその方法】
写真をより良く見せる額装展示のための印画紙フラットニングとは?
バライタ印画紙を使用したゼラチンシルバープリント最初の難関?であるフラットニングについて
白黒フィルム写真を始めると、昔ながらの引き伸ばし機を使用して写真をプリントすることに興味が湧いてくるのではないでしょうか?
フィルム写真全盛の頃なら、写真を撮ったらプリントすることが常識でしたが、デジタル写真全盛となった今では、フィルムで写真を撮っている方も、ネガのデジタル化のみで終えてしまう方も多いことでしょう。
特にカラーフィルム写真の場合は、SNS等のネットにアップすることを最終目的にしている方が大半を占めているように思います。
しかしながら、白黒フィルム写真なら引き伸ばし機を使用して自宅で気軽?に四切サイズ等の大きなサイズの印画紙にプリント出来る訳ですから、ダークルームプロセスによる引き伸ばしプリントに興味が沸くことは当然のことだと思います。
プリンターを使用してプリントアウトするデジタル写真とは異なり、引き伸ばし機を使用して行うゼラチンシルバープリントには、美しさの中になんとも言えない奥深さがありますし、それは昔から行われてきた歴史ある芸術写真製作の一工程でもあります。
作品の出来不出来に関わらず、自分で大きく引き伸ばした写真を額装して、自分の部屋に飾るという行為は、とても素晴らしいことだと思います。
この投稿では、白黒フィルム写真の引き伸ばしプリントの方法を解説していきたいと思います!・・・という、話の流れではありますが、ここでは引き伸ばしプリントの方法については一切触れず、”額装展示するためのバライタ印画紙のフラットニング”について記載していきたいと思います。
何故、先に印画紙のフラットニングに関しての話をするかといいますと、引き伸ばしプリントに関しては、書籍やネット上にも情報がありますし、失敗を繰り返していくうちに、いつかは納得のいくプリントを仕上げられるようにもなりますし、またその過程は写真作りの楽しみの一つでもあります。
それよりも大きな問題は、丹精込めて焼いた写真作品が、”グニャグニャ”になって仕上がったとき、どうすれば印画紙をフラットにして見栄えを良くすることが出来るのかということです。
これは本を読んだり、試行錯誤を繰り返すだけでは解決するのは難しく、また、その過程は”楽しみ”とは縁遠いものです。
まずは印画紙のフラットニングについての知識を手に入れてから、引き伸ばしプリントを始めるほうが賢明だと考えます。
まず最初に、印画紙についてですが、昔ながらの印画紙には大きく分けて2種類あります。
1.バライタ印画紙
バライタ印画紙とは印画紙の支持体となる紙の上に、ゼラチンに硫酸バリウムを分散させた液体が塗布されていて、さらにその上には感光剤である乳剤が塗布されている印画紙です。
特徴としては、バライタ印画紙に焼き付けたときの画像の美しさから、芸術写真作品にはバライタ印画紙が使われてきました。
しかし、印画紙に薬剤が染み込むために長い水洗が必要となったり、乾燥時の印画紙の平坦性を出すのが難しいという難点を抱えています。
2.RC印画紙
RCとはResin Coating(レジンコート)の略であり、バライタ印画紙の両面に樹脂層をコーティングして、薬剤が支持体である紙に染み込まないようにした印画紙です。
特徴としては、薬剤が染み込まないことから、現像や定着や水洗の時間が短縮され、さらに乾燥後も印画紙の平坦性が保たれるという長所があります。
一般的に印画面の美しさはバライタ印画紙に比べて劣ると言われていますが、バライタ印画紙の短所をカバーするために生まれてきた、後発の印画紙です。
この2種類の印画紙の中の”バライタ印画紙”を使用する訳ですが、フラットニングが難しいというのなら、最初から”RC印画紙”を使えばいいのでは?と、思う方もいるでしょうが、これだけは今の私のコダワリだったりします。
バライタ印画紙表面の、ツルツルでもなければ凸凹でもない、ピカピカでもなければツヤ消しでもない、その独特のテクスチャーが生み出す深みのある美しさは、一度使ったら病みつきになる程です。
どうせ手間の掛かることをしている訳ですから、印画紙だってより手間の掛かるバライタ印画紙を選んでも大差ないと私は考えています。
ドライマウントプレス機を使用したドライマウントについて
銀塩写真家が行う最もスタンダードなフラットニング方法とは?
ここでは、多くの銀塩写真家が行っているバライタ印画紙のフラットニングについて記載したいと思います。
ちなみに、私はこの方法では行っていません。
その理由は、多々ありますが、後でご説明したいと思います。
まず、バライタ印画紙をフラットにする最もメジャーな方法は、”ドライマウントプレス機“を使用することです。
ドライマウントプレス機というのは、上下から印画紙を挟み込んで、100℃程の熱を加えながらプレスする機械です。
通常は1分くらい熱を加えながらプレスするようですが、これを行うと、ヘナヘナに乾燥したバライタ印画紙が、ビシッと平らになります。(印画紙特有のカールは多少残るようです)
私も一時期、この機械を購入するかどうか、とても迷いました。
もし、このドライマウントプレス機で全く問題なく印画紙がフラットになるとしても、価格が20万円以上することと(中古でも8万円ほどします)、機械自体の重量が30kg以上もあり、容易には移動出来ませんし、第一、置き場もありません。
また、印画紙のみをドライプレスするとしても、コーナー材を使用してそのまま額装してしまうと波打つことがありますので、ひとサイズ大きい無酸性のマウントボード(ミュージアムボード)にドライマウントティッシュ(接着シート)を使用してマウント(接着)し、さらに無酸性のオーバーマット(窓抜枠)と無酸性のミュージアムボードで挟み込む”ブックマット”を作成して額装することになります。
ドライマウントプレス機は、元々ドライマウントティッシュ(接着シート)を使用して印画紙を厚紙に接着する目的のものですから、やはり、印画紙だけを平らにしても、時間の経過と共に、歪みや曲がりやたわみが出てくることが考えられますので、印画紙をビシッと平らに額装したければここまで行う必要があると思います。
この鑑賞目的を最優先に考えたフラットニング額装に掛かる費用例を下に記します。(大四切サイズ印画紙使用例)
- アルミフレーム額縁(大半切アクリルグラス、ワイド四切サイズオーバーマット付) 約3,500円
- 半切サイズ2plyマウントボード 約800円
- 大半切2plyブックマットボード 約1,000円
- 無酸性テープ(10m巻) 約1,000円
- ドライマウントティッシュ(大四切サイズ100枚入り) 約9,000円
- ドライマウントプレス機新品 約240,000円
如何ですか?
めっちゃ、高いですよね!
もちろん、ドライマウントプレス機とドライマウントティッシュは、数多くのフラットニングと額装を行えば元は取れますが・・・。
また、ドライマウントした印画紙は容易に剥がすことが出来ないため、写真は大四切サイズより一回り大きいサイズでマウントしたボードサイズ(半切サイズ)の無酸性ストレージボックスに保管することになります。(または額縁ごとに保存)
私はどうもこの鑑賞目的を最優先に考えたスタンダードなフラットニング方法と額装手順と保管方法が、たとえフラットで見栄えのする写真になったとしても、行う気にはなれませんでした。
一番大きな理由は、やはりドライマウントプレス機です。
自分の写真作品を販売して収益を得ているプロの写真家なら兎も角、一般のアマチュア写真家が所有するべきものだとは到底思えません。
ミニマリスト(必要最小限主義者)である私にとっては、全く受け入れられないものでした。
そこで、様々な書籍とネット検索から私独自のバライタ印画紙のフラットニング方法を開発しました!
“ダンボール通気乾燥システム”によるバライタ印画紙フラットニング方法
私が今現在行っているバライタ印画紙のフラットニング方法は、
“ダンボール通気乾燥システム“
です。
複数枚用意した無酸性ダンボールの表面に無酸性ミュージアムボード、裏面にタイベック防水透湿シート(住宅建築建材)を貼り付けたものに、バライタ印画紙を挟み込んで乾燥する方法です。
このフラットニング方法は、1992年発刊の”ファインプリントテクニック”の中で写真家の原直久氏が紹介している方法をそのまま実行しています。
このフラットニング方法を実行する前までは、無酸性スケッチブックに挟んで1週間程重石を乗せて乾燥させる方法を試しましたが、なかなか完全には乾燥しきらないことや、スケッチブックが直ぐに波打ってきて、乾燥した印画紙も影響を受けてしまうなど、上手くいきませんでした。
私は試したことがありませんが、ズボンプレッサーで印画紙をプレスする方法もあるようですが、ズボンプレッサーの温度は最高でも75℃程度のようですので、これだけでは上手くいかないのでは?と思っています。
それに、私は結果主義者ではないため、フラットニングが上手く出来たとしても、”家庭用ズボンしわ伸ばし機”を写真技工に使用するというのが、どうしても心理的に受け付けなかったことも、利用していない理由の一つです。
また、ズボンプレッサーを使用する時と同様に、この”ダンボール通気乾燥システム”も、水洗した印画紙をそのまま挟み込んだだけでは上手く機能しません。
次にその手順を記していきたいと思います。
フェロタイプ乾燥機を使用した1次予備乾燥
フェロタイプ乾燥機とは、バライタ印画紙の印画面に熱を加えて光沢を出す目的で使用するものです。
モノクロフィルム写真が主流だった40年以上前までは、L判サービスサイズプリントでも業務用のフェロタイプ乾燥機を使用して印画表面の艶出し&乾燥をしていたと思います。
そんなフェロタイプ乾燥機を活用します。
しかし通常の、印画面にフェロ板を密着させて使うのではなく、”フェロ裏掛け”と呼ばれる、印画面を上向きにセットして加熱する方法で行います。
このフェロタイプ乾燥機を使用する目的は、”粗水を取ること“であり、決して乾燥させることではありませんし、最高の艶を出すことでもありません。
次に私が実施している”フェロタイプ乾燥機を使用した1次予備乾燥”の手順を記します。
- 水洗を終えたバライタ印画紙の水を指で持ち上げて、水を切ります。
- 空のバット内でAgガードをスポンジで塗布します。
- 予熱されたフェロタイプ乾燥機の上のフェロ板の上に、印画面を上にしたバライタ印画紙を置きます。
- バライタ印画紙の上に無酸性ボード(2ply厚)を被せてから、布カバーを掛けます。
- 布カバーの上からローラーを掛けて均一に密着させます。
- タイマーをセットして2分間加熱します。
フェロタイプ乾燥機は、重量も軽く、かさばることもなく、なにより中古市場で2,000円前後という安い価格で購入することが出来ます。
この”フェロタイプ乾燥機を使用した1次予備乾燥”のポイントは、”乾燥させないこと“です。
全体的に湿っていてクッタリした状態に仕上げることがポイントです。
バライタ印画紙の四隅や4辺がちょっと乾燥気味になってもいけませんし、手に水が付くほど水気が残っていてもいけません。
コットンラグ100%のスケッチブックを使用した2次予備乾燥
続いて、スケッチブックを使用しての2次予備乾燥の作業に移ります。
まず用意するのは、”コットン100%で出来た無酸性紙(中性紙)のスケッチブック”です。
コットン100%ではなく、パルプが混入したスケッチブックを使用すると、印画面が紙にくっ付いてしまったり、印画面に乾燥ムラが出たりしますので、必ずコットン100%のスケッチブックを用意して下さい。
私は写真の”ホルベインウォーターフォード水彩紙“を使用しています。
12枚綴りで4,300円(税抜)と、少々値が張りますが、印画紙を挟み込むものですから、良質なものを使用して下さい。
使用後に重石を置いて乾燥させれば、繰り返し使用することが出来ます。
次に私が実施している”コットンラグ100%のスケッチブックを使用した2次予備乾燥”の手順を記します。
- フェロタイプ乾燥機を使用した1次予備乾燥を終えたバライタ印画紙を、開いたスケッチブックの上に置き、団扇で約1分間扇いで印画面を軽く乾燥させます。(万が一のくっ付き防止のため)
- スケッチブックを閉じて、印画紙サイズ以上の大きさのアクリル板(5mm厚)を上に置き、さらに10kgの重石を乗せます。
- この状態で2時間~4時間放置して2次予備乾燥させます。
- 12枚綴りのスケッチブックで最大11枚のバライタ印画紙を2次予備乾燥させることが出来ます。
この”コットンラグ100%のスケッチブックを使用した2次予備乾燥”は、バライタ印画紙に含まれた水分をより少なくする目的で行いますが、乾燥させるというよりは、”印画紙の水分含有量を均一に分散させる”と言ったほうが正しいかも知れません。
加えて、次の”ダンボール通気乾燥システム”自体の劣化をなるべく抑える目的もあります。
先程、”2時間~4時間放置して乾燥させる”と書きましたが、私は1回の引き伸ばしプリント作業に5枚程度しかプリントしないため、印画紙をスケッチブック2枚おきに挟み込み、1時間30分経ったらその2枚の間に置き替えて、さらに1時間30分、計3時間乾燥させています。
“ダンボール通気乾燥システム”を使用した最終乾燥
いよいよ最終乾燥である”ダンボール通気乾燥システム”を使用しての乾燥作業に入ります。
この乾燥システムの作成に必要なものを下に記します。(大四切サイズ印画紙用)
- 無酸性ダンボール(アーカイバルボード11×14インチ)11枚 1枚462円×11=5,082円(PGIにて購入)
- ホルベインウォーターフォード水彩紙スケッチブック12枚綴り1冊 4,300円(11×14インチサイズにカットして使用。2plyミュージアムボードを使用すると高価なためこちらを使用)
- タイベックハウスラップ1,000mm×2,100mm 1,300円
- 5mm厚アクリル板(11×14インチ)2枚 3,000円(オーダーカット)
- 重石10kg 2,500円(トラスコ中山製)
- 無酸性テープ(フィルムプラスト)20mm幅10m 1,000円
この乾燥システムを作成するのに約20,000円弱程必要になりますが、ドライマウントプレス機に比べれば格安ですし、場所は取りませんし、ドライマウントプレスした印画紙に匹敵する仕上がりになると思っています。
この”ダンボール通気乾燥システム”の作り方ですが、材料さえ揃っていれば作り方は図の通り簡単に出来ますので、割愛させていただきます。
必要に応じて、無酸性ダンボールの作成枚数を増減していただけたらと思います。
乾燥作業手順は
- 一番下にアクリル板を置きます。
- その上に片面だけに無酸性紙を貼った無酸性ダンボールを、無酸性紙が上になるように置きます。
- その上にバライタ印画紙の印画面が下になるように置きます。
- その上に無酸性ダンボールを、タイベックシートを貼った面を下にして(無酸性紙を貼った面を上にして)置きます。
- 3.と4.の作業を繰り返します。
- バライタ印画紙最終枚の上には、片面だけにタイベックシートを貼った無酸性ダンボールを、タイベックシートが下になるように置きます。
- その上にアクリル板を置きます。
- 最後に重石を置いて、丸4日~7日間(基本7日間)放置して乾燥させればフラットニングの完了です!
上記の方法で、最大10枚までのフラットニングが行えます。
このダンボール通気乾燥システムは、繰り返し使用することが出来、現在200枚程度のバライタ印画紙をフラットニングしましたが、無酸性紙や無酸性ダンボールの”ヨレ”などは全くありません。
500枚~1,000枚程度のバライタ印画紙を問題なくフラットニング出来るのではないかと考えています。
額縁への額装方法
バライタ印画紙のフラットニングを終えたら、次は額装です。
ミュージアムボードにマウントしていないバライタ印画紙を、コーナー材を使用して四隅にそのまま固定する額装方法もありますが、印画紙の4辺あたりが波打ってしまうことがあります。
半切や大半切などな大きなサイズの印画紙では、さらに波打ちが顕著になり、印画紙中心部にも影響が出ることもあります。
また、オーバーマット(窓抜き枠)と印画紙が重なる部分が少なくなるにしたがって、波打ちが目立つ傾向もあるようです。
この、額装時の印画紙の波打ちを無くすために、フラットニングを終えたバライタ印画紙であってもミュージアムボードにマウント(接着)するのですが、私はマウントしないで波打ちを最小限にとどめて額装しています。
その方法は、
を使用してバライタ印画紙の4辺を固定するのです。
もちろん、使用するのは”アシッドフリー(無酸性)“のテープのりですので印画紙を傷めることはありませんし、指で擦れば簡単綺麗に取り除くことも出来ます。
では、その方法を解説します。
オーバーマット(窓抜き枠)の窓部分の位置をマークして、印画紙を置く位置を計算して正確にマークし、窓部分のライン内側に沿って”貼って剥がせるテープのり”を貼ります。
1回では接着力が弱いため、私は計3回重ね貼りしています。
印画紙を置く位置を記したマークに合わせて印画紙を置き、白手袋をはめた手で軽く押すように擦れば完成です。
しかしながら、この4辺をテープのりで貼り付ける方法には少々難点もあり、印画紙は湿度変化に応じて収縮と膨張を繰り返すため、4辺を貼り付けてしまうと、逆にシワが出来ることがあります。
印画紙に限らず、紙の含有湿度は日本の場合、60%前後に設定されているらしく、例えば印画紙が湿度80%の室内に置かれた場合、印画紙周辺部から湿気を吸ってしまい、印画紙中心部との含有湿度との差から”波打ち”(紙周辺部が波を打っている)状態になるそうです。
逆に、湿度20%の室内に置かれた場合は、印画紙周辺部の水分が放出してしまい、印画紙中心部との含有湿度との差から”おちょこ”(紙周辺部4辺が内側にカールする)状態になるそうです。
これを防ぐ方法としては、”調湿紙”をバライタ印画紙とミュージアムボードの間に入れることが考えられますが、私はまだ試していませんが効果があるかも知れません。
また、印画紙の収縮と膨張に対応するには、上辺1辺のみを貼って剥がせるテープのりで貼り付けて”上から吊るす”方法が最適の場合もあります。
この方法なら、印画紙の収縮と膨張を重力に逆らうことなく、自然と逃がすことが出来ます。
印画紙のフラットニングがドライマウントプレス機を使用した時と同様に仕上がっているのでしたら、極僅かな”たわみ”は許容して、この方法を選択する方が良いかもしれません。
四隅をコーナー材で留める方法もありますが、実際には”下辺2個のコーナー材で下支えている”ことになり、重力の影響で印画紙がたわむことがあり、私は”貼って剥がせるテープのり方法”を選択しています。
また、印画紙を剥がすときは、印画紙のコーナー部分をつまみ、ゆっくりと剥がせば綺麗に剥がすことが出来ます。
万が一、印画紙裏面にテープのりが付着したときには、指で擦れば簡単に剥がすことが出来ます。
最後に額縁に装填すれば、額装写真の完成です。
フラットニングについての感想・まとめ
如何でしたでしょうか?
印画紙のフラットニングは、バライタ印画紙を扱う写真家にとって、鑑賞目的に於いて絶大な効果を担う重要な工程の一つです。
ドライマウントプレス機という仰々しい機材を使用せずに、満足できるフラットニングを目指して試行錯誤した結果生み出した、私独自の方法です。
今のところ、このバライタ印画紙フラットニング方法に満足していますが、写真の販売を考えたときには、ドライマウントプレス機を導入することもあるかも知れません。
しかし、写真コレクターの方々の中にも、ドライマウントされた写真を嫌う方がいるようですし、なんとも判断が難しいところだと思います。
確かに、私も以前、樹脂製接着剤付き裏打ちボードをバライタ印画紙に貼り付けたことがあり、印画紙がフラットになるのは良いのですが、印画紙自体の質感が変わったことにより、写真が写真でなくなってしまったように感じたことがあります。
樹脂製のものだからそう感じたのかも知れませんが、それが無酸性ミュージアムボードに変わっても、もしかしたら同じように感じてしまうのではないか?と…。
額装に関しての、”貼って剥がせるテープのり”を使用する方法は、ちょっとイレギュラー感があるかも知れませんが、要は”額装時のみ完全にフラットにすれば良い”という考えから生まれたものであり、額縁から取り外すせば、マウントされていない”生のバライタ印画紙写真”として保存が出来ることが長所の額装方法です。
このように、考えなければならないことが山ほどある、ダークルームプロセスの引き伸ばしプリントは、一生涯をかけて打ち込むのに相応しいものであると、私は考えています。
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