【自家調合現像液の作り方】MQタイプ高希釈高鮮鋭現像液レシピ

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【モノクロ35mmフィルムカメラ白黒写真の撮影・フィルム現像・印画紙プリント技術とその方法】

現像液を自家調合して、好みの”絵づくり”を目指そう!

フィルム写真とデジタル写真との大きな違いは、 ” 化学的処理 ” が必要か否かです。

即ち、それは ” フィルム現像 ” です。

D.P.E.に依頼して現像してもらうことも出来ますが、自分好みの ” 絵 ” に仕上げてもらうことが難しいことと、なにより、フィルム写真趣味としての楽しい部分を捨ててしまうのは勿体無いと言わざるを得ません。

ご自分で現像されている方も、市販の現像液を使用している方が多いかと思いますが、市販の現像液で現像時間や液温度や撹拌方法を色々試した結果、自分好みの ” 絵 ” に仕上がっているのでしたら問題ありませんが、「もう少しこうなってくれたら良いのにな?」と思うようになったら、自家調合現像液を試してみる時期でしょう。

自家調合現像液を使用するメリットとしては、

  • 現像薬品を自由に増減出来るため、好みの特性曲線を描くように調整できる。
  • 市販現像液を購入するより、多少安上がりで済む。
  • 使う分だけ必要に応じて現像液を作成できる。
  • 公開されている数多くの現像液レシピを試すことができる。

等々が挙げられます。

逆にデメリットとしては、

  • 現像液専門メーカーが既に素晴らしい現像液を販売しているので、わざわざ自家調合して一から開発する必要もない。(^_^;)

等が挙げられます。

私が自家調合現像を始めるきっかけとなったのは、当時、お気に入りの現像液であった ” Rodinal(ロジナール) ” 現像液が中々手に入らなかったため、「それなら自分で作ってしまえ!」という、単純な発想からでした。

私の場合は、現像液を自家調合する必要に迫られたから(必要に迫られなければやらなかった)始めたのですが、現像液の自家調合を始めると、フィルム写真がさらにグッと楽しくなりました。

もし少しでも興味が湧いてきたなら、今が始め時です!

現像液の基本となるMQタイプ現像液

現像液には大きく分けて2つのタイプがあります。

  • MQタイプ現像液

メトール(Metol)とハイドロキノン(Hydroquinone)が現像主薬の現像液です。

他に、酸化による劣化を防ぐ保恒剤としての亜硫酸ナトリウム(Sodium Sulfite)や、現像作用を早める促進剤としての炭酸ナトリウム(Sodium Carbonate)等が使用されます。

代表的な現像液に、コダックD-76現像液等があります。 

  • PQタイプ現像液

フェニドン(Phenidone)とハイドロキノン(Hydroquinone)が現像主薬の現像液です。

他に、MQタイプ現像液と同様に、保恒剤や促進剤等が使用されます。
代表的な現像液に、イルフォードID-68現像液等があります。  

下に、現像液に使用される主な薬品を箇条書きにしてみました。

  • 現像主薬 – メトール、フェニドン、ハイドロキノン等
  • 保恒剤 – 亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等
  • 促進剤 – 炭酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ホウ砂等
  • 抑制剤 – ブロムカリ(臭化カリウム)

PQタイプ現像液に使用されるフェニドンは日本では入手しにくいため、ここではMQタイプ現像液を取り扱うこととします。

最初に揃えておく現像薬品は、

上記4つの薬品で事足ります。

上記の薬品なら、ビックカメラやヨドバシカメラ等の大型家電量販店で一般購入できますので、まずは揃えておきましょう。

MQタイプ阪川式高希釈高鮮鋭現像液の作り方

この現像液レシピは、1980年に発行された書籍の ” 暗室百科 ” に記載されていたもので、その当時、東京工芸大学短期大学助教授であった阪川武志氏が ” オリジナル現像液をつくる ” というページ内に記載されていたものです。

特に現像液名も記載されておらず、 ” 濃度の薄い処方例(高鮮鋭タイプ) ” のみの記載でしたので、私はこの処方を ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液 ” と名づけて引用しております。

この現像液の特徴は、名前の通り、 ” 高鮮鋭 ” であることです。

日本での現像液の代名詞となっているコダックD-76現像液は、亜硫酸ナトリウムが多く含まれており、保恒剤としての役目は強く果たしますが、その分、ハロゲン化銀を溶かしてしまい、微粒子(微粒子=ボヤける)になってしまいます。

この亜硫酸ナトリウムを限界まで減らして、且つ、現像主薬となるメトールとハイドロキノンも限界まで減らして、エッジ効果を高めた処方がこの阪川式高希釈高鮮鋭現像液です。

阪川式高希釈高鮮鋭現像液レシピ(ナイコール型ステンレス現像タンク250ml用6回現像分)

A液

  • 精製水(50℃) 75ml
  • メトール 0.4g
  • 無水亜硫酸ナトリウム 4g
  • ハイドロキノン 0.4g
  • 常温の精製水を加えて計100ml          

B液

  • 精製水(50℃) 75ml
  • 無水炭酸ナトリウム 3.4g
  • 常温の精製水を加えて計100ml      

上記の処方は阪川式現像液の公式の希釈比率を変更して、6回分(1回に付き、A、B液各15ml使用)の処方としたものです。

さらに、促進剤である炭酸ナトリウムを1液で調合してしまうと、酸化が進みやすいため、現像主薬と保恒剤のA液と、促進剤のB液に分けて作成するレシピとしています。

使用方法は、LPLステンレスタンク現像タンク35mm用を使用する場合、250mlの希釈現像液を使用しますので、A液15.625ml+B液15.625ml+水道水218.75ml(希釈:1+1+14)にて希釈して使用液とします。

公式処方では1,000ml作成すると80回分(35mmフィルム80本分)の希釈現像液となってしまうため、使用期限内(酸化する前までに)にとても使い切れないことから、この調合としています。

それでは実際に順を追って作ってみましょう。

阪川式高希釈高鮮鋭現像液作成手順        

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上の写真は、阪川式自家調合現像液を作るのに必要なもの一式の写真です。

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まずはA液の作成から始めます。

各薬品を計量するパラペンには、予めマジックで名前を書いておきましょう。

途中で何の薬品なのか、よく分からなくなることがあります・・・(^_^;)         

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薬用さじの小さい方を使用して、メトールを0.4g計量します。

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続いて、同様にハイドロキノンを0.4g計量します。(多少計量数値が違っても問題ありません)

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亜硫酸ナトリウムは少々量が多いため、パラペンではなく、紙コップのほうが計量し易いかと思います。4g計量します。

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薬品の計量が終わったら、50℃に温めた精製水をビーカーに約75ml計り入れます。(80mlでも問題ありません)

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約50℃前後になっていればOKです。

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各薬品を現像液レシピの記載順通りに溶かしていきます。

今回は、 ” メトール ” → ” 亜硫酸ナトリウム ” → ” ハイドロキノン ” の順番となります。

現像液レシピは、溶かす順に上から記載するという決まりになっていますので、他の現像液レシピを試したい場合もそのルールに従えば大丈夫です。

ただし、1つだけ注意が必要です。

現像主薬であるメトールを溶かす前に、亜硫酸ナトリウムを ” 1ピンチ ” 即ち、ひとつまみ分だけ先に溶かしてからメトールを溶かします

なぜなら、メトールを溶かしている最中にも、既に酸化は始まっていますので、保恒剤である亜硫酸ナトリウムを少し入れて酸化を防ぐということです。

また、それぞれの薬品は完全に溶かし切ってから、次の薬品の溶解に進んで下さい。        

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全ての薬品を溶かしたら、常温の精製水を加えて合計100mlにします。

注意することは100gにするのではなく、100mlにするということです。

しかし、この程度の量では誤差も少ないため、電子はかりで100g計量でも問題ありません。      

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仕上がったA液現像液を108ml用褐色瓶に入れて、一時保存します。

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A液現像液は、最終的に13.5ml褐色小瓶に小分けするのですが、基本、1日間108ml褐色瓶にて養生させます。

その時に、瓶上部には空気が入っていますので、出来ればテテナールプロテクタンスプレーを吹き込んで空気を取り除いておきます。

このスプレーの成分はブタンガスですので、鍋用カセットコンロを使用しても問題ありません。(火気厳禁!)  

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A液現像液の養生が終わったら、褐色小瓶に小分けしていきます。

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A液現像液を計量スポイトを使用して、13.5ml用褐色小瓶に擦り切れいっぱいに注ぎ入れると、凡そ15.5mlほどになります。

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褐色小瓶にしっかりと蓋をして完成です。

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褐色小瓶を逆さにすると、空気混入量が分かります。

この程度の空気量にして、酸化を防ぎます。

現像液作成後、3ヶ月間は全く劣化しなかったことを確認していますが、おそらく、半年~1年は問題なく使用できるのではないかと考えています。    

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出来上がった阪川式高希釈高鮮鋭現像液A液6本です。(ワンショット現像液です。一度現像した希釈液を再利用することは出来ません。)

写真はありませんが、B液現像液も、上記の方法と同様に作成して下さい。

B液現像液は、炭酸ナトリウム単体ですので、酸化による劣化もない(消費期限無し)ため、108ml褐色瓶そのままで保存して問題ありません。   

Rollei RETRO 80S&阪川式高希釈高鮮鋭現像液の特性曲線

自家調合により作成した現像液が、どのような結果をもたらすのかを検証するには、 ” ゾーンテスト撮影 ” が最適です。

一般的な被写体を撮影して、その結果を目視で確認することも重要ですが、数値をグラフ化することで、さらに詳細が分かるようになります。

この ” ゾーンテスト撮影 ” の方法は、 ” 適切なフィルムネガ濃度って?好みの写真に仕上げる現像・ISO感度・露出について ” と ” Photoshopとデジカメを使ってネガフィルムをデジタル化する方法(デジタルデュープ) ” にて記載しておりますので、そちらを参照して下さい。

下のグラフは、阪川式高希釈高鮮鋭現像液のゾーンテストグラフです。

比較対象として、私がRollei RETRO 80Sフィルムに常用している現像液であるPMKパイロ現像液(B液炭酸ナトリウム)のゾーンテストグラフも併せて載せています。

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阪川式現像液は、何度もテスト撮影を繰り返した結果、20℃14分30秒30/120/2に落ち着きました。

現像液温度20℃、現像時間14分30秒、撹拌方法最初30秒連続撹拌に続いて2分毎に2回上下反転撹拌を現像時間終了まで繰り返すことを意味しています。

緑色実線の阪川式現像液テストグラフを見てみると、PMKパイロ現像液と似通っていますが、それは理想をPMKパイロとしていますので、何度もテストを繰り返してPMKパイロに近づけたからです。

阪川式はゾーン中間部のゾーンⅣ〜Ⅶの範囲で、PMKより立ち上がりが弱いことが分かります。

これは、阪川式の中間トーンコントラストが、PMKに比べて弱いことを意味しています。

さらにハイライト部のゾーンⅧ〜Ⅹの範囲で、PMKに比べて線が寝ていることが分かります。

これは、阪川式のハイライト部の分離が、PMKに比べて弱いことを意味しています。

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上の写真は、 ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液20℃14分30秒現像30/120/2撹拌 ” の作例写真です。

露出はISO80設定・絞り優先AEにて撮影していますが、シャドウは完全に落ち込んでいますし、ハイライトは飛び切っていますが、金箔の質感が出ていて、これはこれで悪くありません。       

阪川式現像液を完全にPMKパイロ現像液に近づける必要はありませんが、もう少し改善することを試みてみたいと思います。     

炭酸ナトリウム促進剤の比率を変えてシャドウ部を改善

阪川式高希釈高鮮鋭現像液B液の炭酸ナトリウム溶液は、100mlに対して3.4gとなっていますが、これを4.5gに増量して、さらに1回の使用量も15mlから20mlへと変更してみました。

新たなレシピはこちらです。

阪川式高希釈高鮮鋭現像液レシピ(B液炭酸ナトリウム増量Ver.)

A液(前回と同様)

  • 精製水(50℃) 75ml
  • メトール 0.4g
  • 無水亜硫酸ナトリウム 4g
  • ハイドロキノン 0.4g
  • 常温の精製水を加えて計100ml          

B液(今回の変更点)

  • 精製水(50℃) 75ml
  • 無水炭酸ナトリウム 4.5g
  • 常温の精製水を加えて計100ml   

使用方法は、LPLステンレスタンク現像タンク35mm用を使用する場合、250mlの希釈現像液を使用しますので、A液15ml+B液20ml+水道水215ml(希釈:15+20+215)にて希釈して使用液とします。

予測としては、促進剤を増やしたことにより、シャドウ部の分離が良くなるだろうと(線が立つ)予測しました。

なぜなら、シャドウ部は現像開始初期(例えば10分現像なら3分〜5分位)で現像は完了してしまうからです。

それ以降は現像時間を延ばしてもシャドウ部の現像は進みません。

そこで促進剤を増量して、現像初期の現像作用を強めてみたのです。

また、ハイライト部が飛びきらないように現像時間を短くする必要があると考え、本来14分30秒のところを、20℃9分30秒現像30/120/2で試してみました。

【自家調合現像液の作り方】MQタイプ高希釈高鮮鋭現像液レシ|モノクロフィルム|フィルムカメラ|モノクロ写真|東京写真上のゾーンテストグラフのマゼンダ色実線が20℃9分30秒現像30/120/2のグラフです。

ゾーンⅩの最大ハイライト値が、少々低く、全体的に薄いネガになってしまいました。

しかしながら、ゾーンⅠ〜Ⅳのシャドウ部はかなり立ち上がり、改善されました。

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上の写真は、 ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液(B液炭酸ナトリウム増量)20℃9分30秒現像30/120/2撹拌 ” の作例写真です。

露出はISO100設定・スポットメーターにてマニュアル設定にて撮影していますが、私が撮影するシーンは暗い裏路地が多く、手ブレ防止&レンズを絞り込みたいため、ISO80のフィルムをISO100にして撮影しています。(本当はISO50前後が実効感度です)

薄いネガに仕上げるのが私の好みですが、これは少しだけ薄すぎました。しかし、この露出設定で納得がいくネガを仕上げる現像にしたいと思います。

次は、最大ハイライトを220〜225の数値になるよう試してみたいと思います。      

現像温度を変えてシャドウ部を改善

現像温度20℃で行っていましたが、これをPMKパイロと同様の24℃へ変更し、より現像効果を早めてみました。

1℃上がる毎に30秒早まると仮定して、9分30秒から2分引いて7分30秒で同様、そこに1分現像時間を延ばして8分30秒で試してみることにしました。

【自家調合現像液の作り方】MQタイプ高希釈高鮮鋭現像液レシ|モノクロフィルム|フィルムカメラ|モノクロ写真|東京写真上の黄色実線のゾーンテストグラフが24℃8分30秒現像30/120/2のグラフです。

おや?ちょっと予測を外してしまいましたね。(^_^;)

ゾーンⅩの最大ハイライト値は前回よりも少し下がってしまいました。

しかし、ゾーンⅢ〜Ⅵの中間部は多少立ち上がりました。

ハイライト値が伸びなかった理由としては、現像主薬の量が少ないため、既に現像能力が限界をむかえているということかも知れません。

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上の写真は、 ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液(B液炭酸ナトリウム増量)24℃8分30秒現像30/120/2撹拌 ” の作例写真です。

露出はISO100設定・スポットメーターにてマニュアル設定にて撮影しています。こちらも全体的に薄いネガになりましたが、シャドウ部は頑張っていますし、モルタル外装の質感もなかなかだと思います。

先ほど、現像能力の限界をむかえているかも知れないと書きましたが、もっと現像時間を延ばせば、まだまだハイライト濃度を上げられるのではないかと予測し、次で試してみたいと思います。       

撹拌方法を変えてシャドウ部を改善

今までは撹拌方法を変えずに行っていましたが、今回は60/120/2に変更してみました。

初期撹拌を30秒連続から60秒連続に変更することにより、よりシャドウ部ラインを立ち上げ、現像時間も2分30秒長い11分で行い、最大ハイライト濃度を上げようと試みました。

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上のゾーンテストグラフの水色実線が24℃11分現像60/120/2撹拌グラフです。

予想通り、現像主薬はまだまだ能力の限界を迎えていはいませんでした。

しかし、今度はゾーンⅩの最大ハイライト数値が228でしたので、220~225に収めるという考えからは多少オーバーしてしまいましたが、許容範囲内といったところです。

ゾーンⅢ~Ⅷの中間トーンは、このテストの中では最も立ち上がりました。【自家調合現像液の作り方】MQタイプ高希釈高鮮鋭現像液レシ|モノクロフィルム|フィルムカメラ|モノクロ写真|東京写真

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上の写真は、 ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液(B液炭酸ナトリウム増量)24℃11分現像60/120/2撹拌 ” の作例写真です。

露出はISO100設定・スポットメーターにてマニュアル設定にて撮影しています。ネガの濃さは上々ですが、ネガのコマによっては、最大ハイライトは少々高すぎのようです。

輝度差がある風景などではハイライトが飛ぶ可能性がありますので、基本現像データとしてはもう少し現像時間を切り詰めたほうが良さそうです。

よって以降は、 ” 阪川式高希釈高鮮鋭現像液(B液炭酸ナトリウム増量Ver.) ” のRollei RETRO 80Sの基本現像データは ” 24℃10分30秒10分現像60/120/2撹拌 ” とすることとしました。  

このようにして、現像データを集めて、最終的に基本現像データを決めていきます。             

まとめ

最後に、現像をコントロールするための、私が今までに得た方法を箇条書きにして纏めておきます。

  • 現像液は高希釈にするほど高鮮鋭になる。(亜硫酸ナトリウム量が減るため)
  • 撹拌間の静止時間を長くすると、エッジ効果が高くなる。(ような気がする?)
  • 現像はハイライト部(高濃度部)ほど早く進み、シャドウ部(低濃度部)は進みが遅い。
  • 撹拌回数を減らすと、ハイライト部(高濃度部)の現像進行は遅くなる。(高濃度部に接した現像液周辺に、より多くの臭化物が生成されるため)
  • シャドウ部(低濃度部)は初期段階で現像は完了し、それ以降は現像時間を延ばしても進まない。
  • 保恒剤である亜硫酸ナトリウムを増やすと、より微粒子になり酸化もしにくくなる。(ただし、ボケた画質になる)
  • 撹拌回数を増やすと、現像の進行は早くなる。
  • 撹拌は現像ムラをなくすために行うのではなく、現像をコントロールするための手段である。  
  • シャドウ部(低濃度部)の濃度を上げるには、促進剤である炭酸ナトリウムを増やして現像時間を切り詰める、又は初期連続撹拌を長くする。
  • 現像主薬を少なくすると、高鮮鋭になり、イコライジング効果も高くなる。(と、私は思っている)
  • 現像温度を上げると、基本、現像は早く進行する。
  • 現像温度は20℃にこだわらなくても良い。   

等々です。  

フィルム写真趣味は ” 化学実験の連続 ” と言えます。

初めて使用するフィルムと現像液の組み合わせの場合、基準データ通りの現像を行ってみて上手くいかなかったら、次は予測を立てて試してみる。

それでも納得いく出来でなければ、さらに予測を立ててまた試してみる、これの連続です。

現像時間や現像温度、撹拌方法等は基準データが公開されていますが、使用している水の水質や温度計の精度等、各人の現像環境により大きく変わってくるため、あくまで初回に行う現像の目安としかなりません。

マニュアル通りに行っても上手くいかないのが、フィルム写真です。

しかし、これこそがフィルム写真の醍醐味と言えるのです。

言うなれば、デジタル写真は掛け算さ割り算の関係、フィルム写真は掛け算割り算に、足し算引き算も加わる感じで、決して単純な比例反比例の関係ではありません。

完全に予測出来ないところが、アナログであるフィルム写真の魅力と言えます。

しかし、デジタル化が進んだ現在、デジタルカメラやフォトショップ等を使用して、ゾーンフィルムテストを数値化できるなど、アナログ手段しか無かった時代と比べると、効率的にアナログ趣味を楽しめるようになったと思います。

” デジタルを手段として利用し、アナログとしての目的を達成する “

アナログ写真が、より面白い時代に入ったと思っています。

 

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